SS小説(ショートストーリー) 大会【平日イベント】

少女 ( No.63 )

日時: 2017/01/22 22:08
名前: ヤマナカ

川端康成は『少年』という作品に、自分の恋を綴ったらしい。
私は読んだことは無いが、聞いた話によれば、同級生への恋だった。同性の。
私が綴るのであれば、タイトルは『少女』。私はとある女性に恋をしている。
彼女は私と同じくらいに、髪が短い。自分で切る、不器用な手つきで切られた髪が、昔は長く細い黒髪が、床に落ちるのを想像すると、私はなんとも言えぬ感情になる。甘い香りがする美しい髪だ。それを切った時の衝撃は、私の中で何かが切れた衝撃でもあった。しかし、恋は盲目というが、彼女には以前のショートボブが似合うと私は思ってしまう。他の女友達に似合うと言われたからには、私も賛同せざるおえず、言い出せなかっただけだが。
彼女が他の女友達と親しげにしているとなぜだか、嫉妬で狂いそうだった。幾度となく襲うこの感情は、恋だと私には分からなかった。深く、深く愛していた。黒い目がつまらない教室で輝いているのを見るのが好きだった。唯一の救いだった。嫌いな奴しかいない教室、彼女だけが救いだ。天国から垂らされた糸のように、私の中の淀みが全て彼女にすがる。だが、糸が切れるのはオチとしてわかっていること。彼女は私のことをなんとも思っていない。周りの人間と同じように見えるのだろう。私はカンダタでは無い。
彼女は私の腰に手を回し、抱いて離そうとはしなかった。その行為はなんの意味もなく、抱きつきたいからだと彼女はよく言った。私は彼女には気味が悪いと、よく言ったが、彼女は聞く耳を持たず、私の体から離れない。その時間が私はとても好きだった。心が安らかで、家に帰ってから彼女の腕が恋しくなったことがある。柔らかく、軟らかく、包む、腕がどくのが一番悲しくて、居なくなってしまうのが、嫌だった。
愚かな恋だ。彼女に伝えればそれは壊れてしまう片思いであり、友情。恋は叶わない。私が男であればと、何度悔やんだことか。しかし、男であれば、彼女の美しさを感じることはできなかった。どちらを取ればよかったのか。悩んでばかりで、私は、動けない。
昔からそうだ。嫌なことを思い出して、神経質で、潔癖症で、おまけに友人は二人しかいない。そんな自分に酔っていて、もうあとにはひけず戻れず、そうだった。彼女にすがりつく一人でしか無い私が、また私を締め付けて、死にそうになる。
彼女のことが嫌いになるくらいには好きだ。あの美しいことといえば、泣いている顔さえも、笑っている顔より美しく思える。
気味が、気持ちが悪いのは私の方なのかもしれない。
彼女には伝えられない。
言ってみるのは5年くらいあとなのかもしれない。
それでも私は…


「私は、気持ちが悪いか?」
「……うんまあね。大体、小さい女の子にしか興奮しないだとか、公言することでは無い。しかも、男同士の恋愛が美しいだとか、私も興味があるが、いうことではない」
生真面目な彼女は私のことを変だと言った。「顔がない人が好きって…あなたねえ…」諦めたようにも聞こえる。「障害とか欠損が好きなのか?それは、どうかと思うぞ」
「その人の生きた証なんだ。美しいと私は思う」そうだ。この一言が言いたかった。思い出して口に出した。
「…気持ちは悪くない。でもダメだ。それでは常識的ではない」引いたような目をしていた。「おかしいよ、やっぱり」
「……そう…か…な………」
愛してはいるが、君のことはそう思わない。君の中で失っていいパーツなどどこにもない。
震える唇が、まばたきをする目が、しなやかにのびた足が、骨の出っ張った体が、細くて繊細な腕が、長い指が、低い声が、悔しい時の涙が、光る爪が、黒い瞳が、日に焼けた肌が、シミのある脛が、上げきれないくらいの美しいパーツが。
私は彼女のことが好きだ。
しかしこの気持ちは伝えられない。
どうか秘めておいてくれ。
彼女には伝えられない。
どうか







と、いうわけで!!
半実話。私の友人への思いですな。
どうか『見つかりませんように』!
ファジーとコメディで下品な作品を書いておりますが、見なくても良いです。黒歴史として残したい作品です。
痔ができました。

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