SS小説(ショートストーリー) 大会【平日イベント】

無題 ( No.82 )

日時: 2017/05/14 21:36
名前: 白身さん

学生時代、私の作った歌を君が歌う。
なんて輝かしかったのでしょう?
今や、君は売れっ子アイドル。
私の手には届かない。

悲しいです。
悔しいです。

かつて私の、私だけの存在だったヒーローは、
1万人、10万人のヒーローになってしまいました。

私はそんなことを思いながら、客席で君を見ています。
口調も仕草も立っている場所も変わったのに、何1つとしてあの頃と変わっていない君を見ています。

学生時代から積み重ねていったこの想いは、発散する当てもなく、まだ募っていくばかりです。

どうか、どうか。

1人の貴方のファンとして、
貴方にこの想いが、


バレませんように。




*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜


学生時代、アイツの作った歌をオレが歌う。
なんて輝かしかったんだろう?
今や、お前は所在さえわからない。
お前の手を、取ることすら出来ない。

悲しくて、
悔しい。

かつてお前の、お前のヒーローだった奴は、
お前を裏切って、ステージに立ってる。

オレはそんなことを想いながら、お前じゃない、他の誰かが作った曲を歌ってる。
お前の姿を、ステージから探している。

学生時代から積み重ねたこの想いは、誰かの作った恋の歌に乗せて、お前へと送っている。

どうか、どうか。

貴女に恋した1人の男として、
貴女にこの想いが、

伝わりますように。




*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜


〜番組にて〜

『お手紙のコーナー!』
『『『いぇぇええええい!』』』
『『おー』』
『まずは……お前からだな!。初恋の人は?どんな子だったのかも教えて!』
「えっオレ?えーと……学生の頃の同級生」
『マジか〜!王道だなっ!どんな子だったんだ?』
「うーん………色気ねぇし、中身良いとも言えねぇやつ」
『かなり失礼〜だなお前…』
「飾り気ないヤツだったから一緒に居て楽しかったよ」
『おっ!素直っ!ファンのみなさ〜ん?コイツは飾り気ない人が好きらしいですぞ〜?』
『ちょっとっ?ファンいじらないの!』
(スタジオ一同笑う)
『ねぇー、ねぇー、結局その恋はどぉーなっちゃったのぉー?』
「答えなきゃダメか?………もちろん」
『ぉぉおお?』
「片想いで終わった」
『えぇえええ!?散々女引っ掛けてそうな容姿してんのにぃー?』
(スタジオ一同笑う)
『じゃ〜、他のみんなはどんな恋愛した〜?』



『プレゼントキャンペーンのお知らせ〜』
『下に書いてあるメールアドレスに、番組の感想を書いて送ってねェ』
『抽選で100名様に』
『俺たちのボイスが送られるぞ!』
『それじゃあまた来週も』
『『『『お楽しみに!』』』』

………番組の後、1通のメールが届いた。

『世界で1番愛してる』

届かなかった想いは
量産された愛で、
確かに、けれど、残酷に届いた。

メンテ