SS小説(ショートストーリー) 大会【平日イベント】

トレード ( No.46 )

日時: 2019/03/27 23:05
名前: 塩辛太郎

それは突然の出来事であった。

いつも通り騒音に包まれた東京。車が走り、人が歩き、飛行機が飛び、機械が作動する。そんな、本当にいつも通りの東京だ。だからこそ、ある種の平和ボケをしていた住民たちは、いきなり目が潰れるほどの眩い光に都市が丸々飲み込まれるなんて思ってもみなかった。その光とともに、異世界へと飛ばされてしまうことだって、彼等・彼女等からすれば、想像の中にすらなかったであろう事なのだ。

そして、また別の世界では。

こちらもまたいつも通りに、ドラゴンが空を飛び、勇者がそれを退治し、魔王は世界を脅かし。それはもう、最早パターン化された生活を、延々と繰り返していた。それでも、異世界と呼ばれる此処を退屈に思う者は出てこない。魔法だらけのかなり不思議な世界であるが、住民は存外呑気らしい。そんな住民の思想や超常現象よりも、更に不思議なことが、この世界に起きた。目が潰れそうな眩い光とともに、住民が消えてしまったのだ。まあ此処までは先程の東京と様子と同じで。ここから先が少し特殊だったのだ。

一度もぬけの殻になった東京と、異世界。しかし数秒後には、何事もなかったかのように、そこに人間が戻ってきた。否、戻ってきたというのには語弊がある。正確には入ってきた、だ。

つまり。

異世界に住む人々と、東京に住む人々が、世界だけを置いてけぼりにして、入れ替わってしまったのである。

異世界に、東京の住民とともにまとめて飛ばされたとある少年は、呟いた。

「普通こういうのって主要人物だけが異世界来るんとちゃうん…?」

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