SS小説(ショートストーリー) 大会【平日イベント】

赤い記憶 ( No.47 )

日時: 2019/04/25 00:37
名前: 塩辛太郎


『悲しみすらも、消えるような憎しみを。』

ある朝、ポストに入っていた手紙の一文だ。
私はそれを見た途端に、頭の中に恐怖の二文字がくっきりと浮かび上がるような気がした。

思い出すのは、あの苦い思い出。無論、そのことについて書かれた手紙ではないのかもしれない。
それでも、『アレ』を連想させるのに、この手紙はもっとも効果的な言葉を載せていた。

消さなきゃ。

私は無意識にそう思った。
反省しろだなんて泣き叫んでいた親。他人事のようだった教師。

社会のすべてから投げ出された私は、もうどうしようもない感情の置き場を探していた。
それが、裏目にでるとは知らずに…いや、実際は、頭の片隅で強く後悔してはいたのだろうが。

ナイフを握った私は、手紙を片手に走り出した。

少しだけ、手から紅い液体が滑り落ちた。

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