SS小説(ショートストーリー) 大会【平日イベント】

sky ( No.5 )

日時: 2017/09/29 16:15
名前: 鏡は歪むとどうなるか

神原鈴菜。
その名前はこの学園…いや。この世界のだれもが知っていた。

美しい容姿。
凛々しい態度。
優秀な成績。
驚異の身体能力。
ありあまるほどの財産。

そう。彼女は完璧だった。

行いも能力も見た目も世界の「鏡」だった。

そんな彼女を誰もが羨んだ。
半分の人が妬みや恨みを覚えた。
彼女の血を吸えば美しくなれると誰もが彼女を傷つけようと試みた。


だが、成功したものはだれ一人おらず、皆彼女の防人に追い払われて帰ってきたという。

私も女だから、美貌の血がとても羨ましく、飲みたくて堪らなかった。
そして、ある日彼女の自宅に乗り込んだ。

警備は驚くほど薄く、正直行けるのではないかと思うくらいだった。

喉の渇きが止まらない。


私の持っていないものを何でも持っている彼女。


この世の鏡の彼女。



彼女の…鏡の顔をぐちゃぐちゃに歪ませたい。



そして、私が鏡だと崇められたい。



私が世界の頂に立つ。彼女に変わって。


自然と早まる足。
自然と荒くなる息。
自然と吊り上る唇。

もうすぐ…もうすぐだ。

もうすぐ私が、彼女になる。



突然、私の前に大男が現れた。
奴だ、防人だ。彼女の優秀な唯一のボディーガード。
強靭な強さと肉体を誇る彼はとても美しかった。


けれど、私のために消えて。

振り下ろされた私の拳を手で受け止めた防人は目を丸くして飛び退く。
私の手には刃があった。

刃に映る私は、笑っていた。
倒せる。と実感した。

すると防人は声を立てて笑い出した。
カラカラと鈴の転がるような音で笑った。
これが、男の人の笑い声?

「貴女、面白いのね。」


防人が目を細めていった。




その声は、彼女だった。


この世の鏡鈴菜。

男…?



「鏡だって、簡単にわれるのよ。」

そう言って笑った彼女の拳は一瞬にして私の頬にあたった。











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