SS小説(ショートストーリー) 大会【平日イベント】

( No.52 )

日時: 2019/06/29 08:28
名前:

「お前は誰だ?」

鏡に向かってそう問い続けると次第に精神が崩壊し、自我が保てなくなるという行為が
学校内で流行っていた時期があった。
ただ、この行為は長期的に続けることで起こるもので、遊び半分でやってる奴らは
もって数週間程度であり、自我が保てなくなるほどの結果がでる前にやめてしまうのが大半だ。

「お前は誰だ?」

だが、俺は違った。
毎朝鏡に写る自分に問い続けとうに半年は経っている。
当初はこんな話を聞いて、毎朝鏡を見るわけだしちょっとやってみるかなどと軽い気持ちで
始めたのだがいつの間にか日課になってしまった。

「お前は誰だ?」

かといってこれと言った変化はなく、ここまで続けても何も起きないのかと少しガッカリしている。
今までの自分から変われるのではないのかと淡い期待をしていたのだがやはりこんなものに頼っていてはいけないのだろう。ただ、気のせいか自分の顔が少し変わった気がする。
まぁきっとこれからもこの鏡に写ってる奴に問い続けても意味は無いのだろうけど
折角なのでもう少し続けてみようと思う。

「お前は誰だ?」

お前は誰だ。
お前は誰なんだ。いつも思うがこの鏡に写ってるこいつは誰なんだ。
毎朝こうして顔を合わせてるが毎回写る顔が違っている。
お前は誰だ。

「……」

街を歩くと鏡に写っていた奴らの顔がいっぱいいる。だから片っ端から聞いてみる。
お前は誰だ。
何も答えない、こいつはいつもそうだ。何も答えない。
あまりにも無視されるものだから家にある鏡は叩き割ってしまった。
だからこいつらも叩き割る。
こいつも、あいつも。
ふと知らない顔が写ってるのが見えた、どうやらこのガラスの目の前に写ってるやつの顔だ。
聞いてみる。

「お前は誰だ?」

何も答えない。そうか。じゃあこいつも叩き割る。

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