SS小説(ショートストーリー) 大会【平日イベント】

ただ、 ( No.69 )

日時: 2020/05/05 00:37
名前: 心 ◆sjk4CWI3ws

 銀の刃が荒れ狂う。

 血が踊り、刃に染まる。悲鳴なんてものすらも、きっと彼には聞こえない。

 自制、理性、道徳───そんなものをかなぐり捨て脱ぎ捨て叩きつけて辿り着いた先に其れが在る。

 ただ、彼が瞳の奥に、ずっと捉えていたその金糸の煌めきが。蒼い、宝石が。
 光を、喪って行く。誰かの手で、光を喪わせられて行く。笑っていた彼女が、ゆっくりとモノトーンへと染まって行く。


 それはただ、哀しくて辛くて虚しくて、なんにも残らない、青年の復讐。

 それはただ、一途な青年の、彼女への想いの丈。

 それはきっと、端から見れば────ただ、恋をしているだけ。

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