SS小説(ショートストーリー) 大会【平日イベント】

白雪姫になった魔女 ( No.74 )

日時: 2020/06/27 08:48
名前: 蜂蜜林檎

私の顔が嫌いだ。
姉によく似たこの顔が嫌いだ。
カッターでぐちゃぐちゃに切りつけて、全てを壊したい。
姉と比べられたくない。
姉はなんでもできる。それが憎い。
双子の筈なのに、なぜこうも違ってしまったの?
どうして皆姉の方ばかり見るの?
姉の顔をもう見たくない。
でも、鏡を見れば姉にそっくりな顔がこっちを見ている。
「鏡よ鏡、私は誰?」
そんなことを聞いたって鏡の中の憎たらしい顔は答えてくれない。
ただ、私のことを見てほしい。愛してほしい。それだけ。
私という存在を、姉と言う名の別物と比べないでよ。
ああ、神様、許して下さい。
姉の寝ている部屋に忍び込み、なんの躊躇もなく姉の上に乗る。
姉の白い肌と長いまつげ。薄く色づいた唇。私の手には鋭く尖った包丁。
童話の中の白雪姫と魔女のよう。
「姉さん、最高に綺麗だよ」
真っ赤に熟れた林檎のような血が包丁にまとわりつき、赤く鈍く光る。
姉を葬り、私が姉になるんだ。
私は貴方だった。じゃあ貴方は誰?
そんなのはどうでも良い。だって、姉はもういないのだから。
私は魔女のような気味の悪い笑みを浮かべた。

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