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*19*
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羽狛さんは他にもこちらの質問に色々答えてくれ、役立つかどうかわからないアドバイスももらえた。
もし羽狛さんがあのとき止めてくれなかったら、私もショウも消えてた。いや、私が消すところだった。
「なにぼけっとしてんだ」
「ああ、ショウ、羽狛さんのことを思い出してたんだ」
「変なおっさんだったな。だが、悪い奴ではなさそうだった」
「そうだね」
「数学者としての本音じゃ、もっと色々と教えてほしかったんだがな……まあいい、自分で計算したほうが楽しいからな。それに佑をみつけるのが最優先だ」
羽狛がくれたアドバイスのひとつに、パートナーとは積極的にコミュニケーションをとれというのがあった。こころなしか其の言葉をきいたおかげで、あんなことをしてしまった私にたいしても、南師は気兼ねなく接してくれている。
「でも驚いたよ」
「俺が生きてることにか?」
「そうじゃなくて。ショウが、実は弟思いだったってことにだよ」
「なっ……」
南師は帽子のつばをつまんで、深く被って表情をかくす。
「べ、べつに兄貴としては普通のことだろうが」
照れを隠そうと慌てているのが、なんだか可愛らしかった。
「つぎ変なこといったら、虚数の海に沈めっかんな!」
そしたらショウも消えちゃうよ、と言って笑ったら、ショウは怒ってどこかへ走っていってしまった。
追いかけようとしたときミッション通達メールが来た。
羽狛さんにいわれた通り。パートナーを信頼しろ。そして、なるべくミッションには挑戦する。ミッションメールがきても、もう怖くなかった。
落ち着いた手つきでメール画面を開く。
『ミッション=鏡の主を倒せ。制限時間は70分』
ショウの弟さんもみつけだして、そして私も生き返るんだ。
ネクに思いを伝えるために。