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*24*
「もういいだろう、二人とも。それ以上続くのならば力づくで止めるぞ。」
「「あい!!」」
エルザの厳しい発言によりハッピー化した二人をみて、ルーシィは苦笑する。
真似されたハッピーは複雑な気分になっていた。
「ところで、グレイ。」
「?」
グレイはエルザのほうを振り向く。
エルザはグレイを見て、問いを投げかけた。
「敵が言っていた『護符』とは何だ。」
「!!!………。」
グレイは無言になる。
それをルーシィが気遣った。
「エルザ…。人には知られたくないことだって」
「もういい、ルーシィ。」
ルーシィを止めて、グレイはエルザへ向き直る。
「『護符』は、これだ。」
その護符は、グレイがいつも首にしている剣のネックレス。
エルザは疑問気味に見つめていた。
「これがか?」
「ああ、父さんに貰ったんだ。願いをこめたって言ってたよ。」
ルーシィがふいに優しい笑みを浮かべる。
「優しい両親だったの?」
「まぁ、な。」
一瞬だが、ルーシィの顔が曇る。
親を思い出しているのだろうか、少し俯いていた。
「何でこれを狙うんだよ…。」
グレイの声は震えている。
ナツは、グレイのネックレスを握った。
「お、おいナツ。」
「…じゃあ」
ナツの顔は無邪気な子供の顔だ。
なのに、大人びて見える。
「俺もコレに願いこめる!」
「あ、私もー!」
「おいらもやる!」
「仕方ないな、私もやってみよう。」
「えっ、ちょ、お前等……!」
いきなり全員がグレイのネックレスに集まりだす。
グレイは元から握っていた為、皆が手をつないでいるようだ。
「「「「「…………」」」」」
無言が続く。
グレイはチラリと上を向く。
青い空には揚羽蝶が舞う。
それを優しく、儚い目で眺めた。
皆が離れるまで、後1分。
一話・終
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