完結小説図書館
<< 小説一覧に戻る
>>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック
>>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック
*46*
三話「取り戻す」
「…なんで君らいるわけ?」
ルドの呆れ気味な声は、ナツには聞こえていたらしい。
ナツは上を見上げ、叫んだ。
「グレイ!!!」
「!ナ、ナツ…。」
グレイはビクリと体を震わせ、後ずさりをした。
「グレイ、貴様はギルドを破壊する人間ではないはずだ。」
「はぁ!?どういうことだよエルザ!」
「………っ。」
グレイは哀しげに顔を歪ませる。
「私の独断で隠していたが、実はラクリマにグレイが街を壊すところが映っていたんだ。」
「そんな…!!」
有り得ないとルーシィが驚く。
ナツはグレイに思い切り叫んだ。
「どういうことだ!グレイ、答えやがれ!!」
「……悪ぃ…としか、いえねぇよ。」
グレイの声は弱々しく、小さい声だった。
言い方が悪かったかとナツは後悔する。
「もう、後戻りはできねぇ。…だから俺は、」
グレイはネックレスを外した。
「グレイ…やめてくれ。」
「!!レイガ…。」
突然現れたレイガにグレイは驚愕した。
レイガは罰が悪そうに、グレイの肩をつかむ。
「君は、まぶしいな。」
「何言ってやがる!いいからそこを、」
「…君がこうなった原因も、俺だ。」
レイガの瞳は揺るぎない。
まっすぐな目、あの頃の目だった。
「昔、俺が馬鹿げた事をした。そうルドから聞いてる。」
「……………。」
「それが本当なら、俺は君を正さなくてはいけない。」
すると、上から笑い声が聞こえた。
赤毛の少女と、特有のはね毛の少女。
「…エーガ、ギル。」
「あはははははっ、ばぁーかっ!」
エーガはケラケラと笑う。
ギルはクスリ、と静かに笑った。
「ガーレ…いや、レイガ?もう儀式は終わったわ。」
「何…!!?」
「グレイがギルドの紋章を消した瞬間、あれで儀式は成立したのよ!」
笑い声は止まない。
ギルは静かに、冷たく微笑んだ。
PR