完結小説図書館

<< 小説一覧に戻る

フェアリーテイル ―雪国の氷―  完結
作者: ハヤチ  (総ページ数: 65ページ)
関連タグ: FAIRYTAIL グレイ・フルバスター 二次創作 微グロ 
 >>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック

10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~

*63*


after story『七年後・裏』


天浪島から無事に帰ってきた。
フェアリーテイルは今日も騒がしい。
今、グレイは疲れながらも帰路につこうとした。
だが、マカオがあまりの嬉しさに

「今日は全員ギルドで泊まるぞおおお!!」

と、言った。
グレイはため息をつく。
代わりに、河川に行った。


―河川―

「みんな、変わってたなぁ…。」

ポツリと、グレイは呟く。
すると、後ろに気配を感じた。

「何をしている?」
「リオン…?」

リオンは、グレイの隣に座る。
そして、またグレイに話した。

「どうしたんだ、ここにいるなんて。」
「…いや、皆変わってたな、と…。」

軽く苦笑いをする。
リオンは少し笑う。
しばらくの間、リオンと話をした。


「親友…か。」

リオンとの話にでた、単語だ。
この単語を聞くと、とある人物を思い出す。

「レイガ……。」

グレイは物思いにふけっていると、少しだけ微笑む。


「………あって、みようかな。」

偶然グレイの隣に居た猫がニャゥ、と鳴く。
まるでそれでいいと言われている様で、猫に笑いかけた。

「ありがとな。」

猫を少し撫で、グレイはまたギルドに帰った。
明日なら、レイガに会えるだろうと気持ちを残して。


――――――

「レイガ・スローガウスは――実刑――」

そう言われた時、哀しかった、淋しかった。
帰り道の時、ギャルの会話が頭に響く。
グレイは顔を見られないために、俯いた。

「お前等またか!空気読め馬鹿!!」

ナツの叫び声が聞こえる。
それさえもグレイの心の負担を、重くさせた。

「やめろ。」

震える声を必死に抑えた声は、酷く冷たかった。
自嘲気味な笑みが浮かぶ。

本当は、ナツがしてくれた事は嬉しかった筈なのに。
グレイはまた、顔を歪める。

「…昔からだよ、俺はいつも大切な何かを失くすんだ。」
「…。」

グレイは少し安堵する。
エルザに平手打ちされるかと、ヒヤヒヤした。
だが、それでも構わない。
全部、本当だから。

「それに、何だか哀しく、ない…。淋しいのに、哀しくない…。」

それが不思議だった。
今までに無い感情、変わった感情が渦巻いている。

「涙だって、でてこない…。俺は白状だから」
「ちげーぞ。」

途中で、言葉を遮られた。
グレイは、ナツの真面目さを見て、目を見開く。

「涙がでねぇのは、すごく哀しかったからだと俺は思うぞ。」

ちょっとした優しさでも、今のグレイには十分だ。
これ以上聞くと、溶かされそうなほど。

「…ん、サンキューな。俺はホント、大丈夫だから…。」

これは、嘘だ。
本当はもっと、苦しい。
どうしてこんな感情があるのか、どうして、どうしてと苦しみが渦巻く。



グレイは帰路に着く。
何だか、辛かった。

「………。」

俯きながらは危ないな、なんて軽く考えてみる。
それでもやっぱり、駄目だった。
すると、家の前に誰かがいる事に気づく。


「リオン!」
「ああ、帰ってきたか。お前、島から帰ってきてから家に入ってないだろ。」
「?ああ…。」
「家の中、見てみろ。」

グレイが玄関を開ける直後、リオンがドン、とグレイの背中を押す。
いきなりの事で、グレイは倒れてしまった。

「ってぇ〜〜…。     !!!!」

目の前にあるのは、6つのプレゼント。
それに、100通以上の手紙だ。
その中で新しい物を、リオンが渡す。

「レイガ、からだ。」
「う、そ…。これ、全、部…?」

リオンが渡した手紙を開けてみる。


『グレイへ
 
 元気にしているだろうか。この手紙は呼んでくれているだろうか。
 俺は記憶が戻った。…だが、お前にはもう会えないな。
 死刑囚の俺は、忘れてくれ。
 お前には今、新しい親友が沢山いる。
 グレイ、俺はお前に酷い事をした。
 それは確かだ。…本当にすまなかった。
 どうやらルド達は、魔女の罪というギルドに入った様だ。
 もう彼等は敵じゃない。
 グレイ、俺があげたブレスレットは捨てて欲しい。
 俺を忘れて、新しい人生を歩んで欲しい。
 お前は、俺にとって人生に一度の大切な存在だ。
 だからこそ、忘れて欲しい。
 俺はお前を、苦しめたくない。
 この手紙は最後だ。
 …ありがとう。
 今まで、ありがとな。

 グレイ。


 レイガ』


ぽた、と涙が落ちる。
溢れる涙を拭うことなく、グレイは泣き崩れた。

「やだよっ!お前を忘れるなんて、できねぇよっ!
 捨てたくねぇもん!ブレスレット、お前は友達だからっ!ずっと!
 だからっ、だから忘れられないよ!!」

グレイは泣き叫ぶ。
それを見ていたリオンは、そっと家から出た。

「俺も…っ!お前が、大切だったよ…!!」

グレイはソファに顔をうずめる。
そして、声はソファに吸い込まれた。

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」


その時、外から声が聞こえる。
ナツ達だ。


「グレイー!依頼いってくるぞー!」
「待っていろ、土産に角でも持っていこう。」
「オイラは魚もってくるよ!」
「楽しみにしててねー!」

その声、仲間の声にグレイは笑う。
そして、驚くほど変わった自分の声で叫んだ。



「俺も、いく!」

グレイの腕には、ブレスレットが光る。
気のせいか、ブレスレットはいつもより輝いていた。


七年後という空白はとてつもなく長い。
だから、失うものだってある。
でもそれを、僕等は乗り越えていくんだ。


END

完結です!
ありがとうございました!!

62 < 63 > 64