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*73*
そんなこんなであっという間に期末テストも終了し、7月に突入。
そしていよいよ待ち侘びていた修学旅行当日となった。
「えー、皆さん、おはようございます。朝7時に集まってもらったので皆さん眠たいかと思いますが、しっかりと話を聞いてくださいね」
若い女の先生がマイクを使って笑顔で言う。
偉く楽しそうですね、先生。
彼氏でもできたんですか?
と聞きたくなるほど、上機嫌だ。
ちなみに、この先生は笹原水奈と言って、隣のクラス(1-C)担任の34歳独身だ。
「はい!マイク変わりました!日野です。皆さん、修学旅行、楽しいものにしましょうね!それでは、さっそくバスへと乗り込んでいきましょう!」
朝から女子の黄色い歓声が鳴りやまない。
モテるって大変なのね…。
と改めて感じる。
「それでは、A組から移動です」
日野先生の言葉を合図に、A組の子がぞろぞろとバス停へと向かい始めた。
その後に続いて私達、B組もバス停へと向かう。
「バス座席、お前ってどこに座ってんだ?」
凜が振り向き様に言う。
「えーっとね、私は…一番後ろの列から3番目だったと思う」
「隣は?」
「美樹だけど…どしたの?」
「いいや、なんでもない」
「ふーん?」
凜は聞きたいことを聞き終えたからか、それから私の方へと振り向くことは無かった。
そして、バス停へ到着し、キャリーバックを積み込んだ後に、バスへと乗車していく生徒達。
勿論、私もそのうちの一人だ。
「真奈ー、待って待って!」
私より名簿が後ろなため、少し遅れてやってきた美樹。
軽く息切れを起こしているので、”順番抜かし”をやってきたのだろう。
「私はどこにもいかないから、そんなに慌てなくてもいいのに」
「いやー、それがさー」
と言って、美樹が照れ始めた。
美樹が照れるなんて滅多にない。
これは明日、雨が降るぞ…。
なんて失礼なことを考えながら次の言葉を待っていると、バスに先に乗車した生徒から「早く、真奈と美樹乗って!」と言われたので、会話の続きはバスに乗車してから、ということになった。
そして、バスに乗り込んだのは良い物の…
「え?…え?…えぇ!?」
私は思わず叫んでしまった。
周りから一斉に怪訝な目で見られたので、口を押えて大人しく自分の席に座る。
一体、私の席の近くに誰が居たのかというと、なんと逢坂くんが居たのだ。
しかも、通路を挟んですぐの隣、ということで、声も行動も何もかもを見ることが出来た。
どうしよう!?沖縄の修学旅行中、ずっとこの座席だよね?嬉しさと恥ずかしさで今の私の心、ぐちゃぐちゃ!
一人で悶えていると、美樹はいつもの爆笑を。
「あはは、真奈!そんなに悩む必要ないって!もしなにかあったら、あたしに良いなよ?なんとかするしさ!」
そう言って、溌剌と笑った美樹。
本当に、頼りになる友人だ。
そう感じた今日この頃。