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君とあの時あの場所で〜3ヶ月の恋物語〜 
作者: 秋桜  (総ページ数: 23ページ)
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10~ 20~

*1*


  最期まで、彼女は綺麗だった――

 日差しが降り注ぐ今、宮間湊谷(ミヤマソウヤ)は高校最後の夏を迎えていた。

「うぁっ、あっちい〜」

「今年の夏もキツイなぁ〜」

 ここは、日本列島の南側に位置する小さな島だ。自然がかなり豊かだ。山も海もある。ここの島でしか見れない動植物がたくさんある。生活が困らない程度の施設はあるが、カラオケやコンビニ、ファーストフード店といったものは一軒もない。
「もう、受験だなぁ〜」

「うわ!やめろよ、その不吉な言葉!」

 親友の神田源(カンダミナト)の言葉に文句をつけているのが湊谷だ。2人はサッカー部に所属していたが、もうすっかり終わってしまった。後は受験にまっしぐらだ。

「でもさ、この島に大学なんてないから、上京とかすんの?」

「俺は将来医者になりたいから、絶対大学に行く。父さんの病院も継ぎたいし。湊谷は親父さんの店継ぐのか?」

 源の父はこの島にある病院の院長だ。そして、湊谷の父はラーメン屋さんを営んでいる。

「んー…俺あんまりラーメン好きじゃねえしなぁ…ここにいても結婚できるかもわからねぇし…大学に行ったほうがいいのかなぁ…」

「いや、お前の頭で入れる大学があればの話だけどな」

「うっせぇな!」

 源はいつも学年で上位の成績だが、湊谷はとてもいいとは言えない。

「でもさ、向こうはもっとレベルが高くて、お前だって馬鹿なのかもよ?」

 湊谷は半分笑いながら言った。

「…じゃあ、同じテストを受けているのにあんなに差があるって事は、お前は馬鹿の中でも最下位だな」

「うぐっ!」

 自分で自分の首を絞めるとは、こういうことだ。

「おっ俺、海寄ってから帰る!じゃあな!」

「逃げたな…」

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