完結小説図書館
<< 小説一覧に戻る
>>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック
>>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック
*1*
1
夏休みの図書館。
今、昼下がりの頃なのに、閑散としている。
ヤバい…早く宿題をおわらせなくっちゃ。
ボクは、そんな感じで、静寂のなかを切り裂くように、素早くエンピツを滑らした。
別に、まだ、夏休みは、始まったばかりだし、まだまだ十分に時間は、あるのだけれど、それじゃあダメ。
いろいろと、やることがたくさんあるんだ。
時間は、効率的に、使うのが、いちばんなんだよ、分かる?
分厚い本の529ページまで一気にめくる間に、違う本に手を伸ばして、いろいろと見比べながら、ノートに書き写していく。
小指のひとふりで、見たいものがすべてそろえば、もう、心配することない。
なぜかって?
ボクは、魔法使いだから。それに、黒。…のね。
「ふーん。なかなか、よくやるねぇ。」
…ぐはっ!!
また、やってきた。ボクのなかを切り裂く激痛が。
しかも、その痛みは、遁走曲。バッハのフーガト短調のような、おぞましさで、身体中を走っていく。
…くそっ。あと、もう少しだったのに…
大したことじゃないんだよ。こんなのいつものようにあるから。
あと、数秒間くらいたてば、また元通りになるんだから。
そのまま、ボクは、前のめりに倒れていった。
1 > 2
PR