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SOUL COLOR(消えない罪)
作者: 璃蘭  (総ページ数: 53ページ)
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ⅢⅩ、心の精霊

霧隠にて―吉永楓―

「え?病魔!?」
 直人の話を聞いた私は、思わず叫び声を上げた。
 美波は、まるで魂が抜けたかのような表情をしている。やがて小さく呟き始めた。
「もう『掛橋』繋ぎなんて止めようよ…。楓ちゃん達を困らせるだけだし、私には荷が重過ぎるし…。」
 確かにネガティブになっている。
「どうすれば…。」
「僕が手をかざせば、治りませんか?」
「多分…そうすると美波が…吹っ飛ぶ…。それだけだと、思う…。」
「でも、一か八かでやってみたら?吹っ飛んだら、私が受け止めればいいし…。」
「むやみに触れたら駄目だったりする〜!!」
 急にどこからか声が聞こえてきた。辺りを見渡すけど、見当たらない…。
「スピルは貴方の足元にいる。」
 足元を見ると、桃色の翼を生やした白い猫がいた。
「貴方は…?」
「スピルっていう名前だったりする。スピルは心の精霊だったりする。」
「心の精霊?…それなら、病魔のせいで病んでしまった美波さんを助けてくれますか?」
「勿論だけど、今は無理だったりする。危険すぎる。」
「危険…?どうして?」
「今は『掛橋』が崩れているから、『SOUL COLOR』が暴走する。そうすると、治す力も暴走する。だから、かなり危険だったりする。」
「他に…方法は…?」
「1つある。だから、スピルは貴方達に聞いてみる。貴方達は、普段グレイスにどう思われている?言った限り、教えて欲しかったりする。」
「どうって言われても…美波は自分の気持ちをなかなか表に出さないから、よく分からないわ。」
「僕もです。」
「僕も…。」
「…じゃあ聞き方を変える。グレイスは、今まで貴方達にどんな働きかけをしていたりする?」
「美波さんは、いつも自分から率先して動いてくれています。僕達を苦しめたくないという思いから…。」
「私の悩みも、嫌な顔せず聞いてくれたわ。誰かの役に立ちたいとも言っていた。」
「僕は…命を、救われた…。美波のおかげで…。」
「…それなら、多分大丈夫だったりする…。
今から、貴方達の内の一人を『SOUL WORLD』に送る。」
「『SOUL WORLD』?」
「グレイスの精神世界、夢とも言ったりする『SOUL WORLD』に誰かが行って、グレイスの悩みを消せば治る。悩みと言っても、ただ『SOUL WORLD』にいるグレイスと話すだけだったりする。」
「分かった…。どうする?誰が行く?」
「楓様が行くべきですよ。」
「え?私!?」
「僕も…それがいいと…思う…。美波は一番、楓を信頼している。」
「…うん、分かった。必ず美波を元に戻してみせる!
 それでスピル、どうすればいいの?」
「目を閉じて、深く深呼吸する。」
 私はスピルに言われた通りに、目を閉じて深呼吸した。とたん、意識が飛んだ…。

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