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作者: ベリーアップル (総ページ数: 2ページ)
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*1*
ああ・・・。本当にイヤになっちゃう。
この顔つきと言葉使いのせいでやれ男だわ、やれ「悪魔」だわ・・・。
きっとアタシはつり目なだけ。
きっとアタシは、素直になれないツンデレなだけ!
恋する乙女!甘~い性格なんだからっ。[甘い悪魔]ってんだから!
そう、あたしって、サトルが好き?同クラのサトルが大好きっ!
でもさぁ・・・。サトルッって、あの
やれモテるわ、やれ「天使」だわって、男子どもがほざく、マキカにゾッコンなんて噂が立ってる!
失礼しちゃうよねっ。男子は女子関係、なんにもわかってないんだから。
マキカはイジめっこのリーダーで超怖いって有名なんだから!女子のあいだじゃ。
それを、サトルにわかってもらえないなんて超ショック!
マキカもサトルが好きらしいし、超ライバルなんだよね~!
* * * *
今まで、の平穏な日々には満足をしていた。
しかし、チクりと刺すモノが一つ。
マキカの視線はアタシを貫く。その刃には「サトルをあきらめろ」と書いている気がする。
マキカがどんな視線を送ろうと、万が一に、脅しをかけようと、サトルを諦める理由にはなりまい。
たとえ、サトルがマキカを好きでも、それは変わらない。
「自分の気持ちを応援しろ」。
それはアタシのポリシーであり、座右の銘だ。
アタシは、マキカの評判を落とすには十分すぎる情報を持ち合わせていた。
男子は女子の性格を見抜くチカラが無い。ソレで、やんややんやと言われても、心に通らなければ、ハラがたつにも足りないのだ。
「ほ~れ、今日も不機嫌だねっ。小恋魅(ココミ)ちゃぁーん」
クラスでお調子者の、朱羽(シュウ)がアタシの名前、小恋魅を使って、囃し立てた。
「あーそ。ごめんネつーの。。これでいいんだろ?」
「うおっ、男子ぃ、悪魔ぁー。」
「お子様。」アタシは若干面白くいったつもりだったのだが、朱羽は血の気を引かせて走り去ってしまった。
「ホントに朱羽ってお子様だよな?わかるぜー。」
サッ、とサトルが現れた。アタシは仰天して、イスから転げ落ちそうになってしまった。
アタシは、チラリとマキカを見た。マキカは{取り巻き}と話していて、アタシには気づかないようだった。
「そうだな・・・。し、朱羽は子供っぽい。あ、ああいうヤツ嫌いなんだよな!」
アタシは俯いた。(まーた、男になっちゃった・・・)
「うつむくなや・・・。オレがそんなに嫌いなのか?」
サトルは心配そうに言った。これって女子になる、チャンス!
「ち、違うんだ!じゃなくて違うよ!」
あまりに大声を出しすぎて、マキカの注意を引いてしまった。マキカはアタシを睨みつけた・・・。
(もう、こんな生活ウンザりだよ!アタシに足りないのは勇気だっていうのに・・・。勇気?そうだっ!)
「ねぇねぇ、サトルくぅーん。そんな男女と遊んでないで、アタシと話そうよーん。」
マキカはすかさず上目遣いした。
取り巻きの女子たちがなにやらコソコソ話している。と、一人が手招きした!
「昼休み、屋上にて待つ!」アタシはサトルにそう言い残した。サトルは「果たし状?!」という顔をした。
「ねぇねぇ、サトルくぅーん。だってさー。。」
取り巻きの一人、結花(ユカ)がイヤな顔をした。
「キモいよね。アピールしすぎだっつうのー。」もう一人、咲楽(サクラ)も怪訝そうだった。
「ウチ、朱羽にそんなことされたらキレルカも!」結花がヒソヒソ言った。
「え~?朱羽スキなの~?」アタシはすかさず聞いた。
「スキだよっ。ダイスキ笑ー。昨日フラれたんだけどねー!まだスキ」
アタシは結花の発言に改めて驚愕した。
フラれたのに、まだスキ。とっても勇気持ち。
アタシも結花みたいになりたい。と思った。
昼休みには「マイカ・・・。好きなのか?」と聞くつもりだったが、結花に勇気と応援をもらい「マイカが好きだろうと、アタシサトルがスキ!」に変更になった。
結花を見ていると、とても勇気が湧いて来た。結花には感謝しなきゃいけない。
「あっ、サトル!」
アタシは手を降った。が、カチンと硬直した。
付き添いに、マイカがやってきたのだ。
「なんで、マイカがいるんだ?」アタシは疑った。なんともマイカが怪しい。
「イア。{ついていきたいよぉ。サトルくぅーん。お願い連れてってえ!}なんて、言われて。ダメだったか?」
「ダメ・・・。」アタシは言いかけた。が、やめた。
マイカがサトルに言った。「イイって!アタシ何をしに来たわけでも、ないんだからぁ」
すると、マイカがアタシに近寄り、ぼそっと言った。
「バカな行動しないようにか・ん・さ・つ」
アタシはこの時ハッキリ思った。
[怖い天使]!
甘い悪魔VS怖い天使の告白大決戦が始まった時、予想外の的を射て口を開いた。
「二人が揃ったなら、言わなきゃならねーことがある。」
マイカもアタシもドクッっとしただろう。
しかし、マイカは自分が告白されるものだと、確信を固めていた。
「マイカ!」
サトルが叫んだとき、アタシは絶望し、マイカは勝ち誇った。
「オレは・・・」「お前が・・・」
「好きだって?」マイカはアタシを見下しながら、ひっそり言った。
いきなりサトルは苦しんだ後の顔になった。
「オレはお前が嫌いだ~っ!!!」
「はぁ!?」
アタシとマイカは同時に叫んだ。
嬉しい報告のハズだったけど、始めは状況が理解できなかった。
やっと理解できかけたのに、サトルが口を開くから、また分からなくなった。
「オレは、小恋魅が好きだ~!!!」
マイカは目をおおきくみひらき、逆にアタシは目がテンになった。
「アタシも好きだ!」アタシから不意に出た言葉はこれだった。
それから、気を失ったのか、記憶が無い。
ただ、今現在わかるのは、
「甘~い悪魔は怖~い天使に勝った。」
悪魔は、いわば神様を手に入れたのだ。