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*バッドエンドから始まる恋物語*部活編 完結!
作者: 姫凛  (総ページ数: 11ページ)
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10~

*2*

一話 クラスメイト




「ん……」
「おっ!起きたぞっ」
「本当ですかっ!?」


気がつくと俺は何処かに寝かされていた。…この匂い、保健室か?

「大丈夫か?親友っ!」

ケタケタと笑いながら言っているは、俺の大親友、赤崎だ。
思えばあいつとは中学からの馬鹿やった付き合いだな。…と言うよりも

「隣の女、誰だ?」
「ん?あぁ、ミカンちゃんのことか」
「ミカン…?」
「どっ、どうも…です」

赤崎の隣に立っていたみかん色の髪をした女はぺこりと頭を下げた。俺もベッドから起き上がり、どもっと頭を下げた。
あれ…?この女どこかで…

「あぁ!!思い出したっ!お前っっ朝はよくもっ!!」
「キャッ」

そうだ。思い出した。
この女は、遅刻しそうで焦って走ってた俺の前にいきなり現れやがって…俺は、ぶつかって意識が飛んで…それから…どうしたんだ?

「おいおいっ、そんなに怒る事ないだろ?倒れたお前を保健室まで連れて来てくれたんだからよ?」
「えっ?そうなのか…?」
「あっはい…。私がぶつかっちゃったせいで…天駆くん気を失っちゃって…それで…たまたまを通りかかった赤崎くんに…」
「そうそうっ。俺も遅刻しそうで急いでたからあの道使ったんだ。いや〜見た時はビックリしたぜっ!お前、白目向いてたぞ?」
「なにっ!?」
「い、いえっ、向いてませんでしたよっ!?」

ふぅ、赤崎の悪い冗談か…。白目向いて倒れてた、なんてホラー過ぎるだろっ。

「とにかく助けてくれてありがとう、ミカン」
「いっいえ…!!」
「………」

そういえばこいつ、なんて言うんだ?初めて会った奴を名前で呼ぶのもな…なんかな。赤崎に聞いてみるか。

「赤崎。こいつとは前からの知り合いだったのか?」
「ん?いや今日初めて会ったよ」
「はぁっ?」
「実はさぁー、ミカンちゃんって転校生なんだって!!」
「転校生っ!?」

聞いてないぞ、今日転校生が来るだなんてっ!!先生…また忘れやがったな。

「は、初めましてっ!一年、えっと…」
「タメなのか?」
「えっ?あっ…はい」
「しかもっ、おれ達のクラスに入ったんだぜっ!」
「じゃあ、クラスメイトか」
「そう、ですね…」
「クラスメイトなんだから、気軽に行こうぜ。そんなガチガチじゃ、なくてよっ!」

バシッとミカンの背中を叩く。ミカンはまたキャッって驚いてやがったけど、ふーはーと深呼吸した後

「丸井ミカンです!一緒に楽しく学園生活を送ろうね。これからよろしく!」

と本来の調子を取り戻したようだ。丸井ミカンか…。

「よろしくな、丸井」
「うんっ!よろしく、天駆くんっ」

人と極力関わらない生活を送ろうと決めてたのに俺はまた新しい友人を作ってしまった。
丸井は最初はガチガチで誰とも仲良くできずにいていつも俺の傍にいたが、少しずつ環境に慣れて来たのが自を出し始め今ではクラスのアイドル的存在だ。よかったな、丸井。
もう俺と丸井が会話することはない。丸井は立派にクラスメイトの一員になりいつも沢山の友達に囲まれているんだ、俺の手助けなんてもういらない。俺は独りでいいんだ。

あいつが幸せならそれで…良いんだ。

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