完結小説図書館
作者: にゃは (総ページ数: 69ページ)
関連タグ:
*1*
第一神話「人生を喰らう神」
守神専門学校……俺達二人の兄弟が通う学校。
その学校の前に一人の男が立っていた。
所々にさかだつ茶色の髪の毛。風に揺れるたびに髪型が変わるようだ。黒い制服を来ているが鞄は持っていなかった。
「…………」
上を見上げる一人の男。なにを考えてなにをしようというのか完全なる無表情だった。
「おにーちゃん〜」
男の背後からまるで天使のような声が聞こえてきた。
即様振り向くとそこには一人の少女がいた。
「ロム、おはよう」
ロムと呼ばれた少女はこの男の妹らしく、黒髪にどきどき白が混じりあう髪型の少女だ。
「おはよう、天」
ニッコリとした素晴らしい笑顔で挨拶を返す。
ロムが天と言ったのはこの男の名前だ。
「最初の挨拶以外、呼び捨てにするのやめろ」
「嫌です」
迷いなくきっぱり言われた。
(そうきっぱり言われるとへこむわ…)
「今日は依頼ですか?」
話を切り替えるようにロムが言い出す。
依頼……俺達は神がこの身に落ちた人間、この世界では神殺し(ゴッドイーター)と呼ばれている。
神を殺せる力、神がこの身に落ちたのに神を殺さなければならないという、複雑な世界だ。
守神専門学校とは名ばかりで、守るのは人間を良いと思う神様で人間を食らう…まぁ人間悪く思い殺す神を俺達が殺すこれが神殺し(ゴッドイーター)らしい。
ここはその情報を受けとるのがこの学校だ。
「確か学生は全部で5人でしたよね」
手を合わせてロムが思い出すように天に話す。
「あぁ、そうだけど」
相変わらずの無表情できっちり答えるが隣のロムは口を尖らせふてくされていた。
会話が弾まない。
「……バカ兄貴」
聞こえない程度にこそっと呟くロム。
「なんか言ったか?」
「うん?破壊王って言ったのよ」
(うわぁ…なにその厨ニみたいなネーミング…いやあってんだけどさ…)
「こんちわー」
「おはようございます」
教室のドアが開くと同時に天とロムが息ぴったりに挨拶する。
しんっと…誰もいねぇな…
「いや、一人いるな」
そういいながら、右手を壁に当てると壁が跡形もなく消滅していった。これがシヴァの……破壊の神の力。
「ハッハッハ、ばれた?流石、天だな。」
壁から現れたのは金髪の男だった。見た目はチャラい。いや、性格もチャラいけどな。
「よう、クライズ」
天がクライズと言ったのはさっきの金髪の男だ。
「おはようございます、クライズさん」
ペコリとロムはご丁寧な挨拶。毎度思うのだがこれは必要なのだろうか?
「ハッハッハ、お前らだけか?」
天の肩をバシバシ叩きながら天を見る。天は少しイラッとしながらも返答した。
「あぁ、俺は依頼の受け取りだけどな」
「私もです」
あぁ、お前も行くのね……
「俺も依頼目当てだけどよぉ、腹へってんのよ」
(じゃ、なんか食えよ)
「パンしかなくてよぉ」
(いやいや、パンあるじゃん)
「つけたしがほしぃのよぉ」
(じゃそこのホコリでもかけてろ)
「ロムちゃんの料理が食べたいな〜って」
(それ第一目当てだろ!!)
「わかりました。なんか作ってきますね」
(はぁ、優しすぎるよ妹よ…)
呆れたように下を見るのをロムは無視して!!
ロムは学校の家庭室に走っていった。
「回りくどいな…」
はぁとため息をだして天がクライズに言う。
「しゃーねぇだろ、こうしなきゃ渡せねぇんだからよ」
呆れた顔でクライズが答える。
「これが、依頼だ。」
そう、こいつは依頼の受付みたいなものなのだ。
ロムが知ってはいけない理由は、あいつはしっかりものなので、俺のために依頼を受けまくってしまう。
以前依頼書を落としたクライズが、ロムに出合い30枚は持っていかれたらしい。
まぁ全部クリアなんですけどね。
「依頼内容はっと…」
シュメールの神話の神。
風と嵐の使い手の神。 エンリル
かつてある説話で人類を滅ぼすために大洪水を起こしたといわれる神である。
「少し、帯いれろよ〜手強いぜ」
笑いながら言うが完全に目は真顔だった。
今日も俺の人生を神が喰いました。