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最期のメッセージ
作者: 朝霧  (総ページ数: 14ページ)
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10~

*5*

「やっぱりね。」
そう独り言を呟きながら、僕はそこに立っていた。
近所の公園の真ん中に堂々と立っている巨大な木。
そこは僕と君が出会った場所だった。
「やっぱり君のことで僕にわからないことはない。」
そう心の中で呟いた。
この時、確かに僕は「勝った」と思った。でも、
結局君の方が上だったよ。
君から僕にあてた手紙にはこう書いてあった。
「君がこの手紙を読む頃にはもう私はいないんだ。
 そんなことを思いながら今書いています。
 正直、死ぬことは怖い。でも、少しでも君と離れる方が怖い。
 そう思える私は、幸せ者だなぁと思います。
 まだまだ伝えたいことはあるけど、君にまた会えるって信じてるか  ら言わないことにします。
 でも、最期に1つだけ、どうしても伝えておきたいことがあります。 今まで恥ずかしくて言えなかったけど、
 これまでも、これからもずっと、君のことが、ーーーー」
「ーーーー大好きです。」
そう声に出した瞬間、僕の瞳から透明な涙が溢れてきた。
「馬鹿っ!何で今までっ!ーーーー」
「言ってくれなかったんだ!」そう言おうとしたけどやめた。
「馬鹿は僕の方か。」そう思ったから。
「結局いつも僕が負けるんだよなぁ。」
そう呟きながら僕は木の前にしゃがんだ。
もう君には届かないし、自己満足だってわかってる。
でも、言わずにはいられなかった。
「僕も君のことがーーーー」

「大好きでした。」
             〜END〜

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