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ミルクティー
作者: 雪菜  (総ページ数: 2ページ)
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*1*

登場人物

七海 ミクル
片桐 ナナ
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君に会ったのは・・・もう5も年前になる。
あの時出会っておそらく一目ぼれだったと思う。

高校に入学して初めてのHR。

「七岡中学出身の片桐ナナです。趣味は裁縫です」

その時、自己紹介をして、君の名前を知ったよ。
家に帰って夜、呟いた。

授業中も君の事で頭いっぱいでずっと、モヤモヤしていた。

君は、部活で忙しいから話す機会なかったのにだけどあの日の放課後、

「これで終わりかな?」

あの時私は先生に頼まれたプリントの整理をしていた。
もう誰もいないはずなのに・・・、

ガラガラ

「えっ」

開いたドアの先には驚いた顔をした君がいた。

「一口あげる!」

差し出されたのは紙パックに入ってたミルクティー。

少し甘くて少し温かった。

紙パックを君に返すと、

「七海さん・・・、だっけ?ごめんね、疑問形で。まだみんなの名前覚えてないんだ。えっと〜、それでどうしたの?こんな遅い時間に」

「七海でいいんだよ。私は、先生に頼まれたプリントの整理。片桐さんは?」

「忘れ物。あと、私の事、ナナって呼んで」

ナナちゃん・・・。

「私の事、ミクルって呼んで。あとさ・・・、一緒に帰ろ」
「うん!」

君の笑顔が私の心を後押ししてくれたと思う。



あの日から毎日私とナナは一緒に帰るようになった。

そして初めて手を繋いだのは雪が降りそうで寒くて震えた日の事。

「ナナ、手ぇ冷た〜。フフ」

「え、何で笑うの?酷い!」

「ごめんごめん。冷たすぎてさ、はは!」

「しょうがないじゃん私冷え症なんだから////」

あの時何で赤くなったんだろう?

でもそんなナナも可愛いなぁ。




いつもナナが隣に居てくれたからこんなに高校生活が楽しいんだろうな。



でも、高校生活最後に差し掛かった時、君は駅のホームから…

―落 ち て し まっ た―

丁度来てしまった電車に惹かれて…。

君のことを知ったときは、私は壊れたかと思った。

ナナ、君と言う、大切な私のパーツを失ってしまったから。


目が覚めるとそこは見慣れた駅のホーム。

ああ、なんだかとても懐かしい夢を見ていたね。

でも、あの時の景色はもうなかった。

私は電車を降りて、自販機に向かう。

ガタン

私が買ったのはミルクティー。

ナナと初めて話したとき貰ったミルクティー。

ホントは苦手な甘い甘いミルクティー。

あの日とは違って少ししょっぱくて残しそうになったよ…。

みぞれ交じりの雨、凍えた指先。

線路の向こうに君を思った。

この手の中にある温もりをあと少しだけ感じていたいと願った冬の日。

君の温もりを、ほんの少しだけ思い出したくなった冬の日―。

〜END〜

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