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供述1
僕はいつまでも満たされない。
そう思ったのは、最初の初恋のころからだったんだよ。
好きになったのは隣の席の少女。あの頃は学生だったから、授業という時間単位の区切りに拘束されていたわけだ。
でも僕は嬉しかった。だって彼女が隣に座っていて、時間の経過とともに少しずつ打ち解けていけたから。
そして何カ月たっただろう、やっと彼女と恋人になれたんだ。
けれども、僕は彼女を抱きしめても、側にいても、満たされないんだ。
不思議に思ったよそりゃ。
だって念願の彼女を手に入れて側にいつもいるのに、なんでずっとこんな痛みに襲われるのか分からなかったからね。
彼女にそれを伝えたら、にっこり笑われた。きっと私がほしいんだといって、部屋に連れ込まれたこともあったけど…いや普通そういうのは男がやることだって思うだろうけど、僕の場合彼女が僕を連れ込んだんだって。
でも結局僕のこのわびしさは取れなかったんだ。なんでだろうね。でも今はその理由がわかってるんだけど…僕も君もね。
いやそうな顔するなよ。君がきいたんじゃないか。
それでもその彼女は僕にあきれたりしなかったんだ。僕のこと好きだったんだろうね。僕も大好きだった。
好きだったから、余計に苦しかったんだ。彼女と思いを遂げたのに、満たされなくて苦しくてね…それで僕は彼女と別れた。
何度も同じこと繰り返して、やがて僕はこのわびしさの原因を突き止めることが出来たんだ。
え?うん、そう。
ちょっと…そんな目で見ないでくれないかな、僕だって最初びっくりしたんだけど、でも仕方ないじゃない。好きだったんだから。
うん、僕だって思わなかったよ、好きだって気持ちが…愛しいという気持ちが飢えに繋がるなんてさ。
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