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*紹介文/目次*
登場人物
平田舞 内気でネガティブな性格。母子家庭で妹がいる。いじめられっこ。
中山彩羽 強気でワガママな性格。美人でとりまきがいる。いじめっこ。
佐藤茉莉 いじめを反対するクラスメートの一人。鈴木さんの友達。
鈴木蘭 舞がいじめられる前の友達。発言が苦手。
大野匠 中山さんの好きな人。本人はこわいと思っている。
谷咲樹乃 中山さんのお気に入り。美少女でだれからも人気がある。
私はクラスのかたつむり。
トロいし、運動なんか全然ダメ。
何をやってもうまくいかない。
でも、心のなかで考えたことがある。
かたつむりはきっとそんなこと思ってない。
自分で自分をトロいなんて思ってたら前に進んでないから。
そう思えないから、私はいじめられるのかな?
「 あっ 」
しまった。
考え事してる場合じゃないや。
早く学校いかないと。
学校に行くのはつらくない。
もうなれてしまったからかもな。
「いってきます、お母さん」
お母さんは妹の面倒を見ていて聞いてなかった。
私は一人で通学路を歩いていく。
「あーっ、西岡マジムカつく」
彩羽は舌打ちした。
毎日ムカつくことばっかり。
「あいつの授業うぜーしつまんねーし」
彩羽のとりまきたちが言う。
「彩羽あてるとかありえないわ」
そんな話にはニヤッとする。
こうやって誰かと愚痴をこぼしあうのは楽しい。
「あ、彩羽。大野くんきてるよ」
大野くんとは、彩羽の好きな人である。
「中山、CDありがとな」
「彩羽ー、あのお店かわいかったねー!また行きたいね」
隣のクラスの美少女、谷川さんも彩羽のお気に入り。
そんな頃、遠くで佐藤と鈴木がこんな会話をしていた。
「平田さんも中山さんも考えを大人にしたらいいのに」
佐藤が言った。
「あ、ゴメン・・・。蘭、平田さんと仲良かったんだよね」
鈴木は、ううん、と首をふる。
「いいよ。私は舞から逃げた立場だもん」
涙目だ。
「もういやだ」
「だれでもいい。クラスのなかの誰かでも、先生でもー・・・。
だれか、皆を助けてくれたら!」
彩羽のとりまきに睨まれた。
でも
でも睨みかえす勇気もない。
飲みきったジュースを道端へ捨てる。
小さな子供たちがかくれんぼで遊んでる。
「彩羽、元気だしなって」
珍しく彩羽が泣いている。
原因は大野くん。
他校に彼女がいるとの噂だ。
彩羽の目付きが変わった。
「本当イライラする。ストレスは発散しないとね」
いつのまにか、涙は怒りに変わっていた。
彩羽はニヤッとした。
次の日
いじめがエスカレートした。
今ならサーロインでもツバメの巣でも彩羽のものになってしまいそうだ。
逆らえない。
怖くて近づけない。
うれしいも、かなしいも、わるふざけもできない。
「うあああっ!」
毎日、毎日、死んでしまいそうだ。
夢であればいいのにな。
はやく目を覚まして。
彩羽はガンガンと舞を殴りつづける。
「あんたなんか、死ねばいいんだよ!」
教室のすみっこ。
昼休み。
無視して弁当を食べている人。
ちらちらと見ているだけの人。
佐藤と鈴木は、泣きそうな顔で舞を見ていた。
彩羽はそんな顔の二人を見て、言った。
「ねえ、そこの二人?手伝ってよ」
皆が佐藤と鈴木に注目する。
「まあ、蹴るぐらいでいいからさ」
「え・・・」
彩羽はニヤニヤしている。
「できないの?」
こわい
「できないなら、私があんたたちにしてあげるね?」
小声で鈴木が言う。
「ごめんね、舞・・・」
泣きながら舞を蹴る。
いつかきっと、終わるはずだよね。
いつか私は、中山さんの記憶のなかにいなくて。
それなら、私がいじめられてる意味って何だろう?
帰り道。
「どうしよう…どうしよう…」
鈴木が涙目になる。
「私…最低だ…」
佐藤がじっと鈴木を見つめる。
「もう、こんなクラスやめようよ」
「え…?」
鈴木の涙が乾いた。
「いじめを止めようって言ってんの」
「蘭がやらないなら私一人ででもやる」
鈴木が首を横に振った。
「私も…私もやるから」
次の日。
放課後、彩羽を教室に呼び出し、説得する作戦に決定した。
上手くいかないかも何て恐怖心は捨てたハズなのに、体が震えてるのはなんでだろう。
「彩羽一人なんだから大丈夫!」
自分に言い聞かせた。
「あ、彩羽きたよ」
隣にいる佐藤は冷静に言う。
なら私も堂々としないと…!
「なあに?用があるなら早く言ってよ」
「分かってるくせに!もう舞には手出ししないで!」
彩羽の顔が怒りに変わる。
「なんだ、そんなこと。別に良いじゃない。あんたらには関係ないじゃん」
「それだけなら私もう行くわ」
佐藤も怒った顔に変わる。
「まって!それだけって何!?舞は苦しんでるのに!」
「ああ、あいつが悪いのよ!大野くんがあいつを好きなんだもの」
「はあ?嫉妬心から?そんなことしてるから大野くんに嫌われるんだよ!」
次の瞬間、彩羽の顔つきが明らかに変わった。
鈴木は一瞬、殺される恐怖感を覚えた。
いつもいつも、学校なんて無くなればいいと思ってた。
でも、今日の朝はいつもと違って。
私の机に、いじめられた形跡は無くなっていた。
落書きされていない、何もない。
正直、嬉しさより驚きのほうが大きかった。
いじめはなくなったの?でもどうして・・・。
教室を見渡してみると・・・。
佐藤さんの机に、たくさんの落書きやゴミがあった。
どういうこと・・・?!
すると、後ろから声をかけられた。
彩羽・・・!
「良かったじゃん、ターゲットが変わって」
「あんたをかばったりなんかするからあ」
「明日は鈴木だね、ふふ、楽しみでしょ?」
何も変わってない。
どうしてこんなことするの…?
誰か・・・
み ん な を た す け て|
Fin