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数学恋草物語 Chapter4
作者: 恋音飛鳥  (総ページ数: 8ページ)
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*1*

 その朝の目覚めは良かった。いつもより。
――ある一点を除いては。
「うぎゃぁぁぁ!朝食遅れる!」
「ちとせ、そっちにある私の服とって!」
「これ!?」
「違う!それ恋ちゃんの!」
時計を見るとあと5分で朝食の時間だ。だめだ、3人そろって寝過すとは思わなかった。
 私達はほぼ奇跡とも思える高速スピードで着替え、走って部屋を飛び出した。
 3人とも今日は8:30起床だと思っていた。けれど、2日目の今日だけは算額の収められている神社に行く関係で8:00起床だった。
 悲しいことに、私の班では誰もそれに気づかなかったのだ。
 ギリギリ8:20ピッタリに食堂につき、息を切らして席に着く。
「おはよ、九石」
「…あ、おはよう」
はぁぁぁ…と私はため息をつく。朝からせわしないよ、つらっ…。
「朝からドジだな、やっぱり」
「知らない!」
むすっとして座る。友達と言うくくりでも九石はやっぱり九石だ。ムカつくことこの上ない。うん。
 朝食中もムカつきはのこっていた。
 けれど、仮にも自分の好きな人に「友達」と認めて貰えたことでドキドキしていた。別に付き合い始めたわけじゃない。ただの友達だ。でも、関係が変化したような――前進したような!付き合う前にまずは友達から、ともいうしね!
「お前、算額解いたことは?」
「一応ある。油わけ算とか得意だよ?」
なんだか、九石の方からも話題を振ってくれてうれしかった。…ってそれはいつもよくあることか。
「どっちが速く解けるか勝負する?」
「……良いけど、油わけは私の圧勝だよ!いいね!?」
「さぁ、どうだか」
そういって悪戯っぽく笑う九石。やばい、かっこいい。クラスのがワーキャー騒ぐ理由もわかる!私に対して酷いのは何でか分かんないけど!
 ちゃちゃっと朝食を食べ終えて、隣を見ると、九石は関数についての本を読んでいた。
 …てかこいつ昨日はガロア理論読んでなかったっけ…。一体何冊本持ってきたんだよ…。

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