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優樹
作者: 優樹の青い花  (総ページ数: 6ページ)
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*5*

「クスッ……」
思わず笑ってしまった。
「ど、どうした……?な、なんか変だったかな……?!」
オロオロする幸也。再び笑いそうになったが、なんとか堪える。それでも、笑いを宿した声で言った。
「顔が墨だらけよ。」
「ホント?!やべぇ、息子に初めて見せる顔が墨だらけって……。」
そういって手で顔をごしごし擦る。
でも、手にも墨がついていたので、余計に黒くなってしまった。
“初めて息子に見せる顔が……”
幸也が何気なくいった言葉。
息子、か……。
また、幸せが押し寄せてくる。それは、押さえきれずに熱い液体となって頬を伝う。
「美由子……?」
美由子は、幸也に微笑みかける。
「あなた、私……私ね……。」
片手の甲で涙を拭う。もう片手に温もりを感じながら言った。
「幸せよ。」
幸也も微笑む。
「ああ、そうだな。」
__スー、スー……
二人の笑顔につつまれて、赤ん坊__優樹は、静かに眠っていた。

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