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中学校戦争 序章 開幕、そして絶望
作者: 狩魔  (総ページ数: 3ページ)
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*1*

-1-

__また曇りか。
 最近、曇り空が続いている。ここ5日間、晴れた空を見ていない気がする。
 そんなことを感じながら、師朗は学校へと向かう。
 今日は始業式。一般的には、友達と久しぶりに会って喜びを分かち合うのだろうが、彼は、そんなことを考えもしなかった。
 大人びた性格が彼をそうさせているのだろう。周りには、信用できる者などいなかった。
 好意など微塵もない、からかいという名の罵倒。周りの視線から感じられる嫌悪感。
__どうでもいい。
 不快感を覚えたが、師朗はすぐに取り払って、学校へと向かった。
 これが「開戦」への一歩一歩とも知らずに。

-2-

 学校に到着すると、持参してきた上靴を履き、足早に教室へと向かった。
 制服がうっとうしいと感じたが、いつものことだ。
 師朗たちの学校はジャージを着用しての登校が認められていて、定期テストや集会などの行事がなければ、全校生徒がジャージを着て授業に取り組んだりしている。師朗も勿論そうであった。
 教室へと入り、素早く準備を済ませ、読書を始めた。彼の唯一の楽しみである。2年前からの____
__数分後__
 どうやら朝のHRの鐘が鳴ったらしい。
 本の中に入りそうな勢いで読書をしていたので、気付くのに1、2秒時間がかかった。
 姿勢を正し、今まで通りのことをクラスが終え、担任の話を聞く。
「今日から新学期です。入試まで残り約半年程度なので、普段の授業をしっかりと聞き、家での復習も怠らないようにしましょう。」
 師朗は、自分も今年は受験生か、とのんきな思いを浮かばせた。

-3-

 あっという間に始業式を終え、次の授業に入る準備をした。
 校長の話を聞いていて、あくびを抑えるのが精一杯だった、というのが師朗の感想であった。
 他の生徒もそうなのだろうか。どことなく眠そうな雰囲気を出している。
 準備を済ませ、読書をしようと思った。
__雨だ。
 急に「ザァァ」と砂嵐のような音が聞こえたので、すぐ分かった。
 全員が傘の心配をした。
 そして、授業開始のチャイムが鳴ろうとした1分前。
 (また今日も退屈な授業が始まるのか・・・)
 という考えを振り払い、気持ちを切り替えて鳴るのを待った。
 「開戦通告」のベルを。

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