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*62*
「おいっ!君、危ないぞ!」
「…知ってる。」
彼はそう言い残して、川に入って泳ぎだしたそうだ。
流れが穏やかなものの、川である。
顔面真っ青で流されかけていた私のもとへきれいなフォームの泳ぎで近づき、私を救出したのだった。
しかし、私を家族のもとに返したら礼も聞かず駆けて行ってしまったらしかった。
「まさかあんた、あの時の…!」
「…そう、だよ。偶然だな。」
そう言って立花が笑った。
「……そうだったんだ。今更だけど、ありがとうございました。」
そう言って礼をしておく。
「あの…まだ話はあって。」
「…うん。っていうか、よく覚えてたねえ。」
「あんなこと、めったにないだろ。で、初めて見た時にあの子になんか雰囲
気が似てる気がしたんだ。で、見てたらなんかそっくりだなって。
おっちょこちょいなところとか。」
そう言ってくすっと笑った。
「…?」
「前、こけた時があっただろ。4月。」
「え?ああ。って、あれ、もしかして…押したの立花なの…?」
「…いや、反応面白いだなって思ってさ、いやあごめん。」
「はあー?何それ?チョー迷惑!最っ低!」
でも、笑ってる立花を見たらあんまり怒れなかった。
何だろう、これ…。
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