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イナズマイレブン5 さすらいのヒーロー
作者: 南師しろお  (総ページ数: 44ページ)
関連タグ: イナズマイレブン 不動明王 パワプロクンポケット イナイレ しろお 
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10~ 20~ 30~ 40~

*5*

「ちゃんと開けるよ。それより、あの人」
 奈津姫(なつき)は目線で不動を指す。
「ああ、あれがウワサのサッカー浪人ね」
「きのう、カンタを助けてくれたらしいのだけどまさか居つくとはね」
「何か気になるの?」
「なにか少し気味が悪いわ。職もなくてテントで生活なんて……」
「そお? あたしは好きだなあそういうの。なんていうのかな。そう、ロマン、ロマンよ! 彼の生き方にはロマンを感じるね」
「あのなあ。ロマンなんて……って、ちょっと!」
 奈津姫と話していた若い女性は、釣りをしていた不動の元に歩み寄っていった。
「こんにちは、風来坊さん。釣れてる?」
 不動は後ろから話しかけられて驚き、一瞬竿を落としそうになったが、振り向いて立ち上がり、
「ああ。たった今、ひとり釣れたとこだ」
「それってあたしのこと? 面白い人ね」
 ぷっと女性は吹き出す。
 遠くでやりとりを見ている奈津姫は、何を言っているんだか、と呆れている。
「あたしは京香。商店街で漢方薬を売ってるよ。で、あっちが友達の奈津姫(なつき)」
「奈津姫? ああ、カンタの。ボウズはあっちでおっさんと遊んでるぜ」
 権田とカンタは遠くの公園のブランコで遊んでいるため、こちらにはまったく気づいていない。
「まるで親子みてえだな。あれ、苗字が違うけどもしかして……」
「権田さんとはそういうのではありません。ところで、まさか不動さん、この町に滞在なさるつもりですか」
「ああ。もともと気楽な旅ガラスだからな」
 京香が笑う。不動はそれを見て、自信があったのか顔をしかめる。しかし奈津姫はリアクションを取りかねた。
(旅ガラス!? これは笑うところなのか!?)
 2人は店の準備があるといって、すぐに帰った。
 釣りを再開し、不動は考えにふける。
(不審の目で見られるのはしょうがねえな。でも……旅ガラスはやめときゃよかったかな)

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