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サテライト
作者: 左右りと  (総ページ数: 7ページ)
関連タグ: 左右りと サテライト 衛星 恒星 意味不明 悲恋 
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* 1話


彼女と僕は、ずっと一緒だった。
始まりは、家が隣になったというところから。
終わりは、―――――――――――――





「ホント、なんなのかな。全部消えちゃえばいいのに」

 きみは、そう叫んだ。僕は苦笑して、

「それじゃあ星(ひかり)も僕もいなくなっちゃうじゃないか」

「んー……、じゃあアタシと衛(まもる)以外の全部が、消えちゃえばいいのに!!」

 この世のすべてが、きみに酷いわけじゃないんだよ、そう言いかけてふと思う。
 星と僕だけの世界のほうが、ずっと良いかもしれない。

 僕はまた苦笑した。そんなことになるわけがないじゃないか。

「あっ! もう、7時だよ。衛帰らなくて大丈夫?」

 その言葉に、慌てて時計を見るともう7時をすこし過ぎている。夕飯に間に合わない。急いで帰らなくては。

「ごめん、夕飯7時からって、母さんが言っていたんだ。だから帰るね」

「ううん、大丈夫。毎日来てくれてありがと」

 そういって星は笑った。
 胸が大きく弾んで、苦しくなる。星の笑った顔を見ると、いつもこうなる。でも星はたまにしか笑わない。苦しいのは嫌だけど、昔みたいにもっと見せてほしいとも思う。

「明日も、来るから」

「うん。待ってる……」

 悲しげな表情にさっきとは違う苦しさを感じながら、星に手を振った。

「                         」
 
 病室を出て扉を閉めようとしたとき、窓の向こうを見ていた星の口が小さく動いていた。
 不思議に思いながら、でも扉を閉めたときにはもう忘れてしまっていた。



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