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* 1話
彼女と僕は、ずっと一緒だった。
始まりは、家が隣になったというところから。
終わりは、―――――――――――――
「ホント、なんなのかな。全部消えちゃえばいいのに」
きみは、そう叫んだ。僕は苦笑して、
「それじゃあ星(ひかり)も僕もいなくなっちゃうじゃないか」
「んー……、じゃあアタシと衛(まもる)以外の全部が、消えちゃえばいいのに!!」
この世のすべてが、きみに酷いわけじゃないんだよ、そう言いかけてふと思う。
星と僕だけの世界のほうが、ずっと良いかもしれない。
僕はまた苦笑した。そんなことになるわけがないじゃないか。
「あっ! もう、7時だよ。衛帰らなくて大丈夫?」
その言葉に、慌てて時計を見るともう7時をすこし過ぎている。夕飯に間に合わない。急いで帰らなくては。
「ごめん、夕飯7時からって、母さんが言っていたんだ。だから帰るね」
「ううん、大丈夫。毎日来てくれてありがと」
そういって星は笑った。
胸が大きく弾んで、苦しくなる。星の笑った顔を見ると、いつもこうなる。でも星はたまにしか笑わない。苦しいのは嫌だけど、昔みたいにもっと見せてほしいとも思う。
「明日も、来るから」
「うん。待ってる……」
悲しげな表情にさっきとは違う苦しさを感じながら、星に手を振った。
「 」
病室を出て扉を閉めようとしたとき、窓の向こうを見ていた星の口が小さく動いていた。
不思議に思いながら、でも扉を閉めたときにはもう忘れてしまっていた。
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