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しりとりシリーズ
作者: 彩都  (総ページ数: 51ページ)
関連タグ: しりとり 
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*1*

 ただ、廻ってきたのが俺じゃなければ、もっと涼しく感じただろう………。
「うぅっ………」
 つまり、この紙芝居で、挙手させないといけない………何か大変に感じた………。
 ただ……やるしかない……。
「い……行きます……」
 すぐさま、紙芝居の紙が入った袋を取り出し、紙芝居を出す。
 すると、皆は不思議がる。
「ルッ……ルールを破ってみました……紙芝居にしました……」
「大変面白いです、どうぞ、公開して下さい」
「いぃ……分かりました……」
『ただの愛、最高の愛』
 今から、少し昔、心久(こころひさし)という若者が居た。
 ただの人間である、久は高嶺の花のウノリという、ハーフの女の子に恋をしていた。
 ただ、とある日を境に二人は恋焦がれる事となる、それは、成人式だ、綺麗なウノリに前々から惚れていた久の恋心は急に燃えた。
 体当たりして、何とか二人はカップルになった。
 ただ、久は借金を持っていたので、家を転々と移動する日々になる。
 縷々とした生活にウノリは耐え切れ無かった。
 ただ、ウノリは久の子を妊娠したのだ、久は心を入れ替え、働く事に。
 二万、三万、と少なかったが、生きていくには十分だったが、そんなある日、久が借金していたグループとばったり、会ってしまう。
 うわ、ヤバいと思って逃げたが捕まってしまう。
 ウノリは帰ってこない彼氏に不思議がるが、それでも待った、妊娠九ヶ月目の事だった。
 ただ、一週間も帰ってこないとなると、流石に焦る、困る、不思議だ。
 だが、探しても見付からない……すると電話が、借金のグループの声だった、もう……久は死んだという……。
 うっうっ……と悲しみに暮れるウノリの前には、白い布を顔に覆いかぶさった久の姿だった………。
 ただ、久の子を産むと決めていたウノリは、久の居る病院で産んだ。
 大体二十五時間の戦いの末、それはもう元気な赤ちゃんが生まれた、ウノリは大切に育てようと思い、二人の名前を合わせ、『愛』にしました。
 ただ、『愛』は亡き彼氏、久に良く似た、クリッとした目を持っていて、一生ウノリは久の事を忘れずに、愛しました…………お……わ……り……
「……り……です……」
 凄く周りを気にした、何と泣いているではないか……。
「感動しました……ウノリさんは可哀想ですねぇ……」
「え……有難う御座います……」
 素直に驚きながら言う。
「うんうん……泣けました……それでは挙手をどうぞ……」
 ゾッとなる、コレがドキドキなら許せる、だが、先生達は全然挙手しなかった。
 ただ、一言、体育教師が言った。
「ただ、これは課題の『女子の愛』ではないよな………?」
 なっ………泣いていた皆が泣くのを止める。
「ルールはお前が破ってるだろう………」
 う……嘘だ……手に持っていた紙芝居が落ちる、オワタ……。
「た……大変惜しかったですねぇ……単位は……無しです……」
 全ての紙芝居が水の泡に……。
 にっ憎い!!体育教師が憎いィィ!!!。
 異常に残念だった………こうして俺は、一つの授業を……単位を落としたのだった………。
 単純に思った。
 単位は落とすな……と……。
 とりあえず、俺は泣きながら、家に戻った………。

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