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作者: 未熟モノ (総ページ数: 1ページ)
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*紹介文/目次*
新婚になってから半年が過ぎた25歳のゆみはある日急に不安にかられた。ゆみの夫、25歳のかずきは釣りが好きで、平日でも深夜まで帰って来なかったり、明け方出ては釣りに行くという、釣り中毒といっていいほどの釣り好きだった。
結婚してからかずきの細身の筋肉質だった体は少し丸みをおび、がっしりとした筋肉質な体になり髪も毎朝軽く整えるだけでワックスを着けたようにセットされ、女性のように肌のキメが細かいその顔はあどけなさが残っていた。
そんな夫を持つ妻のゆみは細身で顔はハーフのように目が大きく、髪の毛は癖っ毛のブラウン色をしていて、旦那の伸長にあと5cmで届く165cmという長身であったが残念なことに胸はない。
「最近、釣りに行くのが飲み会の前ばかりで二日連続で深夜に帰ってくる。ちょっと遊び過ぎで怪しい」
ゆみはその日旦那の飲み会の席で変装しゆみになびくか試してみようと試みた。
飲みに行ったバーではカウンターのかずきの隣の席に座れた。飲んでるメンバーは男ばかりのようだ。ゆみだと気付かないかずきに話しかける
ゆみ
「楽しそうですね、会社の関係の方ですか?」
かずき
「!はい、そうです。次の飲み会の余興を考えに来たんですよ」
ゆみ
「そうなんですね、もしかして同じくらいの年齢じゃないですか?私25なんですけどあまり回りに同年代がいないのでつい話しかけちゃいました。」
余興の話から家の話に変わっていくうちに敬語もなくなっていく二人。
ゆみ
「え!かずき君結婚してるの?奥さんどんな人?しりたい!」
かずき
「家にいるのが好きな人だよ。誘っても釣りに来てくれないし、でも優しいから大抵の事は許してくれるんだ。」
ゆみ
「そうなんだ。奥さん釣りに行かないんだね。私は魚が泳いでるの見るの好きでよく瓦に見に行ったりするよ」
かずき
「へえ、釣りはやらないの?」
ゆみ(釣りばっかだなあ)
「釣りをしてる人のクーラーボックス見せてもらうくらいかな」
そのうちにだんだん仲良くなっていく二人。
ゆみ 「あの、言いづらいんだけど」
かずき 「うん?」
ゆみ 「靴ずれでうまく歩けなくて」
ゆみはそっとかずきの耳元に顔を近づけてつぶやぬく。
「お手洗い行きたいの、連れてって?」
「え、でもそれなら女の子のほうが…」
「今すぐ頼めるの、かずき君しかいないの、ねえ、お願い」
「…わかった」
かずきは立ち上がると、ゆみの腰に手を回して言った
「つかまっていいよ」
ゆみ(!!どっどこにつかまるのよ、肩を借りるだけのつもりが!)
ゆみ
「あ、ありがとう」
ゆみはかずきの背中にそっと手を添えた。
もうすぐトイレの入り口という狭い廊下に入ったとき、ゆみは体が反転し背中に壁の冷たさを感じ、目の前にはかずきの顔が広がっていて、両手は壁にくくりつけられていた。
ゆみ(えっなっなにがおきてっ)
かずき
「ねえ、こんなところで何してるの?ゆみちゃん?」
ゆみ(バッバレて)
かずき
「俺が気付かないと思った?外見は変わっても匂いと声でわかるよ。」
ゆみ(に、匂いって!?)
「なっ私は川原あいよ。ゆみなんて名前じゃない、はっ離してよ。」
かずき
「ふぅん…?あいねぇ……?人違いだった?ごめんね」
ぱっと離された手に安堵したのもつかの間
今度は両手で抱き締められ、うなじにかずきの吐息がかかる
かずき
「抱き心地もゆみなんだけど。なになにこういうプレイ?」
ゆみ
「やっ!もう!お手洗いに行かせてください!奥さんが泣きますよ!」
かずきはしぶしぶ手を緩め、その隙に脱兎のごとく逃げ出したいゆみだが、
ぱこっぱこっとヒールを脱いでふらふらとトイレの中に入る。
(い、いけない、ここで認めたら負けだ)
数分後、トイレから出てきたゆみをかずきは肩に手を回して支える。
かずき
「ごめん、人違いだったね。悪い」
ゆみ
「いいよ、浮気になるところだったね、私帰るから」
ゆみはバーを後にした。
タクシーで帰宅して玄関の明かりをつけた途端、体が前のめりになり抱き締められる
かずき
「おかえりゆみちゃん」
ゆみ
「たっただいま、どうし」
たの、と言う前に唇を塞がれる。手で唇を覆われていた。首もとをかずきの鼻先がくすぐる。
かずき
「梅酒、焼鳥、タバコの匂い」
一通り匂いのチェックが済むと、口を覆っていた手が背中に移動する。
ゆみ
「友達と飲んできたの、わかる?」
ゆみはタクシーで化粧を直し上着をリバーシブルで色を替えて帰っていた。かつらも収納済みだ。
ゆみを抱き締めたまま、かずきは力なく言う。
かずき
「…ゆみと間違えるほど似てる人に会ったよ」
ゆみ(本人に言うか、てか合ってたけどね)
「そうなの?ライバルかな?」
かずき
「本人が一番いいな、素直で」
ゆみ(ん?)
かずきの抱き締めている手が上がってきて、顎を上げられ、目の前のかずきの光った目に刺される。
かずき
「あいちゃんのときは拒否るんだもん、ショックだなあ」
ゆみ(?!?!)
「なんのこと?」
かずき
「まだ認めないの?会社の同期もゆみのこと気付いてたよ」
ゆみ
「うそっ」
かずき
「うそ。」
ゆみ(やられた……)
かずき
「奥さんが男を騙す悪い子になっちゃったから…夫としてはお仕置きしておかなきゃだよね?」
ゆみ
「待って待って、騙せてないからセーフってことは」
かずき
「ないよ。浮気でも調べに来たの?あいちゃんで来てくれればいつでも浮気してあげるよ?」
ゆみ
「と、とりあえず離して。す、座って話そう?」
かずき
「お仕置きだからこのままかなあ」
かずき
「ゆみからキスしたら離すよ」
ゆみ(ほんとかな…)
チュッと唇に触れるようなキスをして、離れようとしたがゆみの後頭部はかずきの手に固定されていて、ゆみを味わうような深いキスに変わる。
酸欠寸前で開放され、
かずき
「これからがお仕置きだからね?」
そう一言言われたあと一瞬開放され、また抱きつかれた。
密着度が上がってかずきの鼓動がシンクロする。
ゆみ
「うっうそっまさか今ので離したなんてことは」
かずき
「あるね、ちゃんと素直な子になるまで叱ってあげるからね?」
ゆみがそのあと何を言ってもかずきはお仕置きだと言って聞かず、眠らずに次の日を迎えた。
かずき
「あー、あいちゃんにまた会いたいなぁ」
ゆみはキッとかずきを睨んで思った。
ゆみ(かずきに探りを入れるときは遠目から確認しよう。騙すなんて無理だ。)
本気で反省するゆみであった。
完