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8月3日。 たった一人の親友は
作者: 大和 撫  (総ページ数: 4ページ)
関連タグ: ハイキュー 二次創作 腐向け 孤爪研磨 黒尾鉄朗 死ネタ 
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彼が一番最初に失った記憶は、事故と親友だったはずの俺の事だと思う。初めから無かったかのように俺の存在は消えていた。あの事故で二人とも死んでしまったみたいだ。でも、死んでしまったならしょうがないと、諦めていた。自分が幽霊になっている事に気付くまでさほど時間はかからなかった。最初はこの現象に驚いた。常識人の彼なら困惑すると思った。けど俺は普段からよくゲームをしていたから、慣れるまでに時間はかからなかったと思う。幽霊になったからには、未練があるのではないかと、俺の幼なじみは言ったけど、未練らしい未練もないし、強いて言うならば、発売予定だったゲームの事だろうと思った。 幼なじみは、未練を解決すれば いつまでもここに留まらずに済む。なんて、安易なことを言っていたから、とりあえずやろうと思っていたゲームをやった。実際は触れられないから、幼なじみがやったのだけれども。相変わらず下手だったけど、俺のためにここまでやってくれるのは少し嬉しかった。絶対に言わないけど。 なんで、俺の幼なじみに姿が見えているのか、それは俺にもわからなかったけど、どうやら生前にお互い好いていた人には見えるのではないか、という仮説がら立てられた。というのも、彼が生きている頃に好きだったという烏野のセッターにはどうやら彼が見えているらしいのだ。ゲームをやってもらっても未練とやらが拭いきれないので、久しぶりに彼の様子を見に行った。その時に偶然見かけた。
高校時代。俺はなんとなく彼らがお互いを好いている事が分かっていた。周りから見ても
かなり仲が良かったし、いつか結ばれるなんて、考えていたのだけども。実際そう上手くはいかず、結局彼の性格のせいで 疎遠になってしまっていた。彼の性格はよく知っていたはずなのに。今思えば、あの時彼に何かしら声をかけておけばよかったのではないか。
しかし、死んでからの後悔なんて、どうにも出来ない事だ。 だから、俺は幼なじみと二人で彼らの事を見守り続けてた。 だんだん俺の記憶も消えてきているのも分かっていたけど、幼なじみは俺が消えるまでずっとそばにいてくれるそうだ。うざいなんてその時は言ったけど、少し安心したんだよ。夏の暑い日、あのセッターの人が倒れた時は幼なじみに助けを呼んでもらったりした。 あのセッターの人には彼が見えているはずなのに、何故か見えないふりを続けていた。最初は不思議だったけど、今では理由がわかった。 きっと
お互いが好きだから。お互いが縛り付けてしまうと考えたんだ。そんな二人の関係がもどかしかった。 結局、また彼はあの人の事を諦めてしまった。 自分が死んだ事を強く実感した事もあったらしい。 やっぱり、死んでこの世に残ったところで、二人は結ばれることなんてなかったのか。



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