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*紹介文/目次*
私、ミケ。ペットショップ暮らし中…。客には良くミケって呼ばれるの。
もう生後七ヶ月。横のケースの子は生後二ヶ月。ペルシャって言うんだって。その子は結構人気で、ほら、またケースから出された。抱きかかえられてる。私なんか、わー三毛猫だー位しか言われないんだって。もうなんなんだよ!私もジャパニーズボブテイルって言う種類があるんだけど、まーあれだな、三毛猫なんてその辺にいるしね。そもそも私は結構安売りされちゃって。ケースの中で固まってた子猫時代があったからなー。もっと媚び売れば良かったわ。隣のペルシャがもどって来た。そこで話してみた。
「アンタってさー抱っこはされてるけど飼い主決まらないのが不思議よね。」
するとこう答えたのだ。
「うん。ぺるしゃってちょっとたかいから、ってみんないってたよ。」
さらにこう続けた。
「でも、いつかやさしいかいぬしさんがきてくれるってしんじてるよ。」
「アンタはのんきで良いわねー」
私もいつか、いつかって言ってる場合じゃない。
「まあアンタは私みたいにならないようにすることね。」
「みけさんみたいにー?」
「わたしはみけさんみたいなりっぱなおねえさんになりたい!」
私が立派なのかどうかもビミョーだけどね…。まあ他の子に尊敬されるのは誇らしいからいいけど。
どうにかしたいけど、ケースの中なーんにもない。ただひたすら
ぼーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっとするだけだからつまらない。
……いや、待てよ?何もしてないから飼ってもらえないのか―?だとすると媚びを売るにはまだ間に合うかも?! よーし、善は急げ!
「ゴロニャーン♪ナァーーン♪」
客(子供)「かわいい〜!この子かわいいよママ!」
客(親)「五万円かー。安いわね。でも、大きくなった猫ちゃんはあんまり懐かないのよ?
こっちの子にしましょうよ。」
客(子供)「あ、本当だ!こっちの子の方がかわいい!だっこしてみたい!」
ほら見ろ。ニンゲンの子供の興味といったらこの程度だ。どうせ子供に飼われたりなんかしたって、すぐ飽きられるだろう。あーーーこれじゃだめだ。このままじゃ値段はどんどん下がってペットショップの厄介者だ。いや、もうそうか?
…………………………どーしよ。まあそろそろ寝ますか。
………パチッ。目が覚めた。ここは…何処だろう?どうやら車の中。何でかな?何処に行くんだか?着いた。何だかマークとか店名はあの店と同じみたい。でも何か暗くてほこりっぽい。店員の態度もサイアク。ここは何なの?
何が何だか分からないけど、他の動物が言うに、ここはペットショップの系列店だそうだ。前の店より一層安売りされ、四万、三万、どんどん値段は下がり続け、ついにはここも出なくてはならない事になってしまった。沢山の犬猫と車に乗る。もう皆助からないと、皆騒いだり外に行きたがったりはしなかった。着いたのはこれまた沢山の犬猫がいる場所。生きているんだか死んでいるんだか。もう私も生きた心地がしていない。もう…だめだ。
―私は、死んだのだろうか?―
目が覚めた。生きて…いる?
ここはあのペットショップ。これまでのことは全部夢だったらしい。
私はこのままではあの夢のようになってしまう――
???「この子、だっこして良いですか?」
誰のこと?ペルシャの子かな?横のケースを見る。ペルシャのあの子が居ない。よくよく見ると、「家族が決まりました」とあった。ガラスのケースに、手の跡が残っていた。大きな手をかざしてみた。何だか冷たいガラスケースが温かく感じた。ペルシャの子のことを考えていると、ケースから出された。
誰かの腕に抱かれる。温かい。抱っこされたなんて、何ヶ月ぶりだろう。
???「じゃあ、この子にします。」
ん?にゃんだって?
紙のハコに入れられた。狭いし気に入らない。早く出してよー、ねー!茶色のバスケットに移された。まあ、紙のハコよりはマシだろう。
車に乗せられた。車は嫌いだから早く降ろしてね。ねー聞いてんの??
どうも、飼い猫のアズキです。私の新しい飼い主は、一人暮らしのリョウタ。猫を飼うのは初めてみたいで何もかもあどけないけど、まあ愛は伝わっています。何とか上手くやっていけてます。で、リョウタは来月末に結婚が決まってるんだって。どんなお嫁さんかな〜♪
女同士で話せるし、その人猫飼ってたことあるらしいし(ボソッ)。で、ペルシャ〜!元気してるー?私は元気元気、チョー元気!(飼い主を困らせる程に)ま、頑張れ!
これで私のお話はお終い。世界中の犬猫達が幸せになれる日が来ますように!
個人的な意見だが、私はペットショップには反対だ。
沢山の犬猫を大量に繁殖させ、それを高値で売る。世界中には捨てられたりして傷つけられた犬猫達が里親を待っているというのに、わざわざ故意に繁殖させる。それより、困っている子達を助けるのが先なのではと、私は思う。犬猫は避妊、去勢が基本だ。もっと多くのニンゲンに知って欲しい。それが我らの望む未来だ。
―――――飼い主の居ない犬猫は、本来増やしたくないものだ―――――