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*104*
【大正コソコソ噂話】
Q,オリキャラたちがもし現代で授業を受けたら
睦彦→理系より。数学の第一問題の正答率が高い。国語と英語が壊滅的
仁乃→国語が得意。英語や社会などの暗記に強い。数学と理科が苦手
有為→全体的に得意。古典と科学に強い。数学の立体図形によくとまどうタイプ
亜門→全体的に得意。数学が得意だが一問ごとに時間をかける。社会が一番好き。
****
〈蜜璃side〉
これってどういうことなのかしら。
私はきょろきょろと辺りを見回し、一回大きく深呼吸をして心を落ち着かせる。
辺りは一面、闇に包まれていて、前も後ろも、自分が今どこにいるのかも分からない。
さっきまでは伊黒さんとお祭りを回ってたのに、気が付けばこんな変な場所へ閉じ込められた。
これは敵からの奇襲なのかしら? 伊黒さんもこの場所のどこかにいるの??
それで敵はどこ?? まさか私を閉じ込めて終わりじゃないでしょうね?
蜜璃「も~~、出るなら出てきてよぉ!」
と怒鳴って見るが返事はない。
深淵の中に、私の言葉がこだまして帰ってくるだけだ。
いよいよ心細くなってきて、背中の冷たい温度をじかに感じるようになってきた。
もうどれくらいここにいるのだろう。そもそもこれは鬼の血鬼術なの?
どうやったら出られるのかしら。取りあえず技でも出してみる??
ああ、ここに冨岡さんやしのぶちゃんがいればよかったのに。
二人はいつも冷静だから、きっといいアイディアを考えてくれる……って駄目よダメ!
恋柱たるもの、すぐに他人に助けを求めちゃダメよ。考えなきゃ!
蜜璃「………よしっ。取りあえず空間を把握することよね! 技を出してみるわ!」
私は手探りでベルトに挟んでいる刀の鞘に手を伸ばし、刀身を抜いて息を吐く。
大丈夫、大丈夫よ。今まで何とかなってきたんだから大丈夫!
実行あるのみ、当たって砕けろよ!
蜜璃「恋の呼吸・壱ノ型 初恋のわななき!(ブンッッ)」
右腕を大きく振りかぶって技を繰り出す。
剣は大きく軌道を描き、固い陶器のような何かに当たった。
恐らく壺かなにかが置いてあったのかしら。ガチャンッという快音が響き渡った。
おそるおそる一歩前に出てみると、靴裏に破片のようなものの感触。
こんな闇の中、壺があるのもおかしな話ね。
収集でもしているのかしら?
蜜璃「はぁ……伊黒さん大丈夫かしら……。あと敵どこよぉ!」
??「うわっっっっ!??」
すぐ耳元で悲鳴が聞こえ、私は「ぎゃああああ!?」と悲鳴を上げて飛び上がる。
なになになになになに!??
バクバクと高鳴る心臓を必死に落ち着かせつつ、目を凝らして横を見やると……。
ほんのチラッと、青緑色の袴が視界に見えた。
確かあの服は………。
蜜璃「む、睦彦くん、よね? そ、そこにいるのっ??」
睦彦「ひゃいっ?? ……ハァーハァー……お、俺っス、睦彦です」
私の悲鳴に、睦彦くんが声を裏返らせる。
どうやらすぐ横に彼がいるようだ。
しいんと静寂に包まれた闇の世界で、私と彼の息遣いだけが絶えず聞こえている。
蜜璃「に、仁乃ちゃんと一緒にいなかったかしら」
睦彦「あ、っと、なんか気が付いたらここにいて、胡桃沢とはぐれちゃって……甘露寺さんは?」
蜜璃「わ、私も……伊黒さんとはぐれちゃった……」
伊黒さんも私がいなくなってきっと心配しているわよね。
彼の心情を想像して、私は肩を落とす。
睦彦くんは一瞬押し黙り、直後さっきまでとは打って変わった明るい調子で言った。
睦彦「でも、甘露寺さんがいてくれてすっげぇ安心したっつーか……気が楽になりました」
蜜璃「う、うん、私も!」
睦彦「……でもすみません、俺がいたところで結局なんもできねぇっすよね……」
今度は睦彦くんが肩を落とす(落としたと思わせるほど静かになっちゃった)。
確かにこんなにも視界が黒に閉ざされてたら、どうすればいいか分かんないものね……。
明かりとか、何も持ってないし。
睦彦「炭治郎とか善逸だったら、嗅覚や聴覚でなんとかできるかもしれねえけど、生憎俺五感が特別優れてるっていうわけじゃないから……」
蜜璃「大丈夫よ、それは私も一緒なんだしっ。ね!」
剣を振った感じ、奥行きはかなり広い様子。
床には壺らしきものが置かれている。地面は木の板で、体感温度が低いからきっと建物の中?
うーん………。
睦彦「せめて宵宮や花子たちが来てくれれば、何か変わるかもしれないけど……」
有為「呼びましたか?」
睦彦「っぎゃああああああああああ!??」
二回目の絶叫。いい加減彼が可哀そうに思えてくる。
不意打ちとか苦手って言ってたわね。意外と繊細なところもあるし、大丈夫かしら……。
蜜璃「有為ちゃん? いたの??」
有為「桜さんが先ほど情報を教えて下さって、転移術で加勢に来ました」
睦彦「っ。お、お前ぇぇぇぇぇぇぇぇっっ!! いるならさっさと言えよ!!」
心強い助っ人の登場に、睦彦くんの中の気持ちの糸が一気に緩んだ。
涙混じりの声で睦彦くんが歓声を上げる。
有為ちゃんが来てくれればもう大丈夫だとでも言うように。
有為「ここは確かに鬼の血鬼術で作られた空間のようですね。聞くところによると、元下弦の鬼たちがこの一連の事件を率いているそうです」
蜜璃「やっぱり鬼の仕業だったのね。許さないわ! で、でもここからどう脱出する?」
有為「それはですねぇ………」
有為ちゃんが自信気にニヤリと笑い、錫杖を掲げて私たちを振り返った。