完結小説図書館
>>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック
*紹介文/目次*
あの日は月が綺麗な日だった。
見ていると吸い込まれそうになる程綺麗な月だった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ふふふっ」
朝学校に行ってみると机に落書きがされていて全く座れない状態だった。
さっきの笑い声はきっといじめっ子の声だろう。私は今日もかと思ってから少し濡らした雑巾で机をゴシゴシと拭いていく。
このイジメは先生も共犯で頼れる人なんていない。最初こそ辛かったものの最近は慣れて来て特に何も感じなくなって来た。
『キーンコーンカーンコーン』
チャイムがなった頃には片付けも終わって
机に座れていた。ギリギリだったが。
「今日は暑いですので水分はきちんと摂る様に,あとは....」先生の話は退屈だから聞き流す。第一自分のことをいじめて来ている奴の話なんて聞きたくもない。
それから授業中も適当に聞き流す。
こんなことをしているから成績はいいとは言えない。「はぁ」ため息が一つ溢れる。
こんな毎日なら自殺したって変わらないじゃないかと毎日の様に考える。
授業はまともに受けていない、いじめられている。もう学校なんて来る意味がないじゃないかと思い始めた。
暑苦しい教室の窓から空を見上げる。
教室の中はこんなにも暑いのに空はとても涼しそうな色をしている。
もう少しちゃんと見てみたいから休み時間に屋上にでも行こうか。
適当に授業を聞き流し、休み時間になったので早歩きで屋上まで行く。殆どの学校は落下防止のために屋上には行けない様になっているが此処は何故か空いている。
屋上までの階段を駆け登り急いで屋上に行く。なぜ急いでいるのかは自分でもわからない。でも、今じゃないとダメな気がして急がないと辿り着けない。そんな気がした。
「はぁはぁ」屋上にたどり着いた時には息切れをしていた。屋上で空を見上げてみると思っていた通り空が綺麗だった。
数分眺めているといきなりあおい空に黒いものが現れた。何かと思い見てみると黒い蝶だった。何故か青くて綺麗な空よりも魅力的に見えて無我夢中で小さな子供の様に追いかけているとやっと手が届きそうなところまで来た。「とっ」蝶に手が届いて捕まえられた。蝶を見ているとこの蝶の様に自由になりたいなと考えていた。今のこの生活は不自由すぎる。自由になるためには....私は考えついた。
そして直ぐに実行した。
落ちている途中に蝶から手を離して綺麗に飛んでいる蝶を見つめながら私は死んだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その日の夜、満月があの子から見た蝶のように光り輝いていた。