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マモノチューバーズ!全てはゼロのままに(完結)
作者: ロストメイドウィン ◆B/lbdM7F.E  (総ページ数: 105ページ)
関連タグ: メイドウィン小説 ファンタジー 配信者 
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【第六話】
『終末が近いこの世界で我は動画を撮る』

魔王と純白チャンネルの二人は、事務所で円になる

魔王
「...」

イエティ
「...」

雪女
「...」

コウモリさん
「あー、まぁさっきも言ったようにだ」

コウモリさん
「世界が止まっちまったわけだから、こうやってダラダラしても一秒も無駄にならねぇ」

イエティ
「いや...今いち信じられないんですけど、時が止まったって...」

雪女
「でも、かれこれ数時間はダラダラしてる気がするぞー」

魔王
「ああ、気分的にはもう夕方だ...それなのに太陽の位置が変わらない」

イエティ
「...じゃあ、やっぱりそうなのかもしれない、だけど」

雪女
「まだ何かあるのか?」

イエティ
「こう...よくある時間停止ものって、私たち生き物も止まったりするのが普通だよね?」

イエティ
「でも、外を見る限りだと私達や魔王様はもちろん、他の人達も動いてるように見えるけど...」

コウモリは窓から外を見るが、少し困った顔をしながらも止まることなく動いていた

魔王
「ふむ...」

イエティ
「何か、変ですよね?」

コウモリさん
「それに関しては何となく分かっている...ほれ」

コウモリは爪でビスケットを掴み、雪女の元に置く

コウモリさん
「これ食ってみろ」

雪女
「いいのか!?」ヒョイッ

魔王
「な、何を...?」

雪女
「ん...むぐ...ん、ん...?」

雪女はビスケットを口に頬張るが、すぐに吐き出す

雪女
「硬いぞこれ!せんべいかよ!」

コウモリさん
「やっぱりな」

イエティ
「やっぱりって?」

コウモリさん
「雪女、お前今噛んでビスケットを砕こうとしただろ」

雪女
「当たり前だろ!」

コウモリさん
「ビスケットを噛むのには時間がかかる、歯が当たってビスケットが割れるのにおよそ0.8秒ものの時間が必要となる」

コウモリさん
「だが、今は時が制止した世界...ビスケットを噛むために必要な僅か0.8秒さえも届かない孤立した世界」

魔王
「つまり?」

コウモリさん
「物が動くには時間がかかる、時間が止まっちゃ物は使い物になりやしない」



コウモリさん
「時が止まって動かなくなるのは俺たち生き物じゃない、生き物が作り出した『モノ』だよ」

魔王
「なっ...!!」


コウモリさん
「へっ、ゲームだって動いてないんだろ?今ごろ信号機も車もテレビもなーんにも動かなくて大騒ぎのはずだ」

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