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いつだって私達は。
作者: のゆり  (総ページ数: 17ページ)
関連タグ: 熱愛 依存 サイコパス 風俗 復讐 自惚れ 嫉妬 
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10~

*1*

 「おはようございます」
 朝からこんなギラギラな店の中に入るのは、最初は気が引けた。今はもう慣れたのだけど。
 スタッフや他の女の子達にも挨拶する。その際、荷物を持ったり調子を聞いて、好印象を持たせておくのも欠かさない。
 今日も可愛いあたしを見つけてお金を堕とす客の姿が早く見たい。

 日記のネタ探しにスマホをいじっていると、
 「おはよう♡今日も頑張ろうね♡」
 とあたしの次に人気の、今運営が推してる子、愛(いと)ちゃんが若干谷間が見えるポーズで話し掛けてきた。
 __あたし、実はこの子が苦手なのだ。
 声は高くて耳がギンギンするし、やたら胸強調してきて気持ち悪い。
 語尾はまるで♡でも付いてるみたいな、俗に言うぶりっ子なのかもしれない。
 「そうね、お互い頑張りましょ」
 と軽く会話を聞ってスマホに目を向ける。愛ちゃんはそのまま自分の待機場所に戻った。
 
 待機場所であたしが1番好きなあたしの表情、角度、ポーズで写真を撮る。
 背景は事前に撮っておいた海の写真を使い、あたしが海にでもいるような合成写真が出来た。
 薄い青のフィルターをかけて、お店の名前と「夏だぁ!」という文字を入力してアップ。
 これで今日の客は5人ぐらい増えたと思う。

 メッセージアプリを開いて、妹達と4人で使っているチャットに文字を打ち込む。
 『今何してる?時間大丈夫そう?』
 毎日、暇な時は送るようになったこの呟きも、割とすぐ返信が来るから嬉しい。
 『スマホ見てた。今は全然暇ー」
 結花が反応した。いつもスマホいじってるから当然か。
 『今起きた、いつでも退屈』
 瑠璃歌だ。引きこもりだし突っ込む時間は無い。
 『麗奈お姉ちゃん!いつもお仕事忙しいのにありがとね。瑠璃歌お姉ちゃんも結花も、目を労ってよ~』
 百合菜。みんなには会社勤めって言ってたんだっけ。今は暇ー。
 その後も、しばらく雑談して解散した。

 さ、まだ時間に余裕があるので、仕事関連の勉強でもしようかな。
 風営法とか風適法22条の勉強や、プレイを上達させるコツとか、色っぽい声をちゃんと出す練習など、有効に時間を活用していた。

 長い準備時間が終わり、いよいよ実戦タイムだ。
 いつもの様に予定びっしりだから今月は大丈夫そう、と確認すると、営業スマイルで最初の客と対面する。
 「麗奈です」
 「よろしくね〜グヘッ」
 この人ちょっと、無理だなぁ。笑い方キモいし。でも妹の為、あたしの為。キモ男が大金堕とすんだから丁度良いでしょ。
 いざ部屋に入ってキスをすると、中年キモ男が胸を触ってきた。
 キモいのに、嫌なのに。なのに、あたしの心は満たされる。もっと、と体が欲している。
 こんなあたし、嫌い。

  続く

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