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偽装人間@000【完結しました】
作者: 朔良   (総ページ数: 115ページ)
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       第5章 転校生は話題の少女

「あ、林檎だけ仲良くなっちゃってずるい!」
 そう告げながら近づいてきた整った顔立ちをした少女――。

「はじめまして! 妖姫美鶴(ようきみつる)です」
「……はじめまして、菊川澪です」

 澪は美鶴の顔を知っていた。芸能科だから、知ってる顔があるのは当然。ただ、名前が違ったから澪は一瞬、誰か気付かなかった。
「……って言っても、芸名は『美狐』でやってるんだけどね」
 微笑みながら美鶴は言う。
『美狐』という名は澪も知っていた。若手だが実力派俳優だ。
「『月に疼く』で共演させて頂くことになったし……よろしくね!」

 そう。『月に疼く』で美鶴は初主演を務める。
 澪は、今日知り合った林檎と美鶴のことを千尋に知らせようと感じた。


 澪の転入には1年部だけではなく、全学年でもちょっとした噂になっていた。
「聞いたかよ?! 『beautiful』のCMの子、転入してきたんだってよ!」
「あーあの菊川澪って子? 綺麗だけど……演技はどうなんだ? まだドラマとかは出演してないじゃん」
「演技も最高だよ」
「う、わ、比呂! 急に出てくんなよ」
 
「ごめん、ごめん」と言いながら比呂は友達の向かいに立った。
「菊川澪は演技も最高。瑞葵由香里にも劣らないと俺は思ってる」
「……お前、演技見たことあんのか? 瑞葵に劣らないってかなりじゃん」

 瑞葵由香里とは芸能界の歴史にも残る天才女優、藤本理央の再来とも言われる実力派若手女優だ。

「ああ、あの子はすごい」

 比呂は澪の演技を本気ですごいと思っている。
 それは確かなのだ。


 そして、ドラマ撮影初日はとうとうやってくる。


                         第5章 完


 妖狐さんの名前を使わせて頂きました。 

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