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偽装人間@000【完結しました】
作者: 朔良   (総ページ数: 115ページ)
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*91*

 幕間


 貴方はいつまでそうして名前を呼び続けるの?
 画面の中にいる彼女を見続けて、『まだ生きている』とでも思いたいの?

 ねえ、いつまで泣いているの?

 貴方の娘は、もう、死んだのに。



「――遅くなってごめんね。今日から貴女は、私達の娘よ――」

 あの人が、見てる。

 私の母になろうとする人を見つめてる。

 寂しそうな瞳で
 輝きの一つもない瞳で

 私を、見つめてる。
 
 私の中に住む『誰か』を探してる。


 幸せだった。
 あの人がいない世界。
 
 あの人――母の父親がいない世界は幸福に満ち溢れていた。

 あの人は何をしているんだろう。
 一人でまたテレビの画面を見ているのだろうか。

 画面の中ではまだ生きている彼女を思いながら――。



 

 さあ、終わりも近づいているこの舞台。
 終わらない演技に終止符を打とう。

 少女は気付いているだろうか?
 彼女が残した最期のメッセージに。

 彼女は気付かずに逝ってしまった。
 少女が願う最後の望みに。

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