完結小説図書館

<< 小説一覧に戻る

逆ギレマスカット【祝・完結!!ヽ(≧▽≦)ノ】
作者: 冬の雫  (総ページ数: 12ページ)
関連タグ: ラブコメ 恋愛 セツナ系 ちょいギャグ系(多分) 
 >>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック

10~

*9*

★☆★

「…マ、マスちゃんこわいっ」
「待て待て、怖がるなっつの。オレ不良じゃねぇんだし」
「いやさっきの十分不良だったよ!?」
「あれは“演技”だよ、分かってんだろ?」

舞透がそうなだめるように言うと、大地は「…う、うん…」と弱々しく返事をした。

───ここは、屋上。

あの後、二人はすぐにここに直行したのだ。

「…ていうかさ」
「うん?」

屋上の涼しい風に髪をなびかせながら、舞透がポツリと呟いた。
大地は、なるべくゆっくりに返事をする。

「あの女、誰だよ」
「えっ」

大地が、驚いたように目を丸くして舞透を見る。
舞透は、「なに」と少しだけ不機嫌そうに言った。

「マスちゃんが興味持つなんて、珍しい」
「はぁ?なんだソレ」
「いやだってさ」

大地が、「昔からよく言ってたんじゃん。『人に興味を持ったとき、それは世界が終わるときだ』って」と笑いながら言う。

「言ってねーよ!盛り過ぎだっつの」
「あ、バレた?だって今のマスちゃん、マスちゃんじゃないような気がしたんだもん」
「意味わからねぇこと言ってねぇで、とにかくあの女は誰だか教えろ」

そう言う舞透に大地は笑うと、「えーっと…、」と考えるように腕を組んだ。

───一時限目の始まりのチャイムが、やわらかい風に消されていく。

「姫島…花だっけ」
「ひめ?…はな…?」
「なんか面白いよな。マスちゃんと似てる」
「面白い言うな」

舞透は喝を入れてから、「オレは昔から自分の名前が嫌いだって言ってんだろ」とふてくされたようにフェンスに頬杖をして、ため息を吐いた。

「いーじゃん、俺的にはカワイイよマスちゃんの名前」
「ふざけんなよ。お前も知ってんだろ、オレは昔からあだ名が酷かったんだよ。例えば…───」

舞透が嫌そうに息をつきながら言葉を放った瞬間、屋上の扉が開く音と同時に、「マスカット!!」という女の叫び声が聞こえた。


───もちろん二人が唖然と その女、姫島 花を見たのは言うまでもない。

8 < 9 > 10