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作者: ヒナ (総ページ数: 4ページ)
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〜1〜 4人+1=4人?
「もう、夏だねー。五年もたったんだね」
雨音がそうつぶやく。
4人でならんで歩く帰り道に
「おい、そういう話するなよ」
圭が冷たく言い放つ
すると、雨音が「何でよ!」といいまた言い争いが始まる
『アハハハハッ!!』
突然誰かの笑い声が頭の中に響いてきた
みんな怪訝そうな顔をしている
きっとみんなも聞こえたのだろう
「・・・おい、今の」
『みんな、こっちだよっ』
バッと一斉にそちらを向くとそこには
フリルがたくさんついたワンピースを着た少女が立っていた
「・・・!!」
一瞬で全員が黙り込む
「俺、暑さで頭やられたのか?」
少し間をおいて圭がそういった
「ゆ、い?」
いつの間にか私の口からそんな言葉が漏れていた。
『・・・』
その少女は黙ってニコッと微笑む
「ゆいっ!!」
私はたまらず走り出したその小さな体に飛び込む
フワッと花の香りが鼻を刺激する。
「ゆいっ、ゆい!!」
頬にいくつもの涙の筋を流しながらその名前を呼ぶ
「紗愛・・・」
優生がつぶやく
圭が止める様な言葉を言っていたけど耳に入らなかった
『紗愛たん』
「……っ!」
紗愛たん、それは昔からゆいが私を呼ぶときの名。
私はやめろと言ったけど少しからかうようにそう呼ぶのは
ゆいだけだった
「本当にゆいなの?」
いつものおちゃらけたような雨音の声が震えている
『うん。空見ゆい、だよ』
ゆっくり、その体を離すと涙でかすんだ目でゆいの顔を見つめる
いつの間にか隣に来ていた雨音が瞳に涙をためながらこっちを見ていた
「ゆいっ!!」
雨音も耐えられなかったのかゆいに抱き付く。
ゆいは『くすぐったいよ』と笑う。
「ふ、ふっざけんなよっ」
後ろからそんな叫びが聞こえてきた
それはもちろん圭のもので振り返った時にはその姿はなかった
「け、圭・・・」
優生はというと「えっと、ぼ、ぼく。」とおろおろしている
『みんな、ただいま』