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それから、彼の目が覚めたときは、夕方をとうに過ぎていた。
よろよろと、起き上がった所々に激しい痛みが、残っている。…どうやら全身を強く打ってしまい、しばらく気絶していたのだろう。
弱々しく立ち上がった途端に、下の方から、甲高いアニメ声がした。
「あらら。けっこうよく、眠ったもんだねえぇ。」
「そうさせたのは、君だろう?全く、ボクも困るんだよ。」
「しょうがないことだねぇ。これが起こるのは、だれだってそうなるからねぇ…精神が、完全に黒くするためにある副作用と考えられば、いいんだねぇ。」
黒魔女や、黒魔法使いになるには、呪文や、知識だけじゃない。
本当に、真の魔力を得るためには、考えや、行動そのものを変えなければならない。そんなのは、最初から分かっていた。
「なのにねぇ、きみって、いざというときに、うつせないんだよねぇ。まだまだ、真の魔力には、程遠いって感じィ?だねぇ。」
「うるさいな。君の方だって、同じじゃないか。」
「それは、きみに合わせようとしてやってることで、本心じゃないねぇ。」
押せば引く。そんな、会話は、ボクのイライラを確実に、溜め込ませた。
「黒魔法使いの修行が、はじまって、はやウン年も過ぎようとしているのに、まだ、一度も人間を呪いきれていないじゃない、だねぇ。それって、へなちょこって、世間ではいうって
「だまれ!! おまえは、ボクのことを何にも分かっていない!!
ボクは、今までどんなに苦しいことも、我慢してやってきた。その辛さが、おまえに分かるのかい!?
…いや、分かってたまるか。」
「フフフっ。その、ひねくれさ、噛みつき具合がいいねぇ。」
アイツは、あどけない笑顔を浮かべながらも、話すのをやめない。
「…大形くん、きみは生まれつき素晴らしい才能をもっている。その、才能をもっと確かなカタチにしなければならないんだ。そのためには、どんな手段をとってもかまわない。だって、きみは将来、魔界を統一すべく、反撃のヒーローとなるんだから。」
「統一?ヒーロー?ボクが?ありえないね。そんなくだらないお遊びは、ごめんだよ。」
「くだらなくない。今魔界では、王による、支配がずっと続いている。それによって、住んでいる奴らみんな、バカになってしまっていることは、分かるだろう?愛だの、友情だの、悠長なことばかり出てきて、ここ最近緩みっぱなしだ。きみは、そんな、緩みを引き締めるんだよ。きみは、まだ、幼いにもかかわらず、判断する力、考える力が、人一倍十分に備わっている。大人になれば、魔界に名を残せるほど、実力がつくとぼくは、予想しているんだ。魔界を救うのは、きみしかいない!」
確かに、恨みはもっていた。
復讐する気持ちはもちろんあったが、そんな自分に対する自信は、正直なかった…