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【銀魂】 短編集5作目 【六角事件後】
作者: 学ラン (総ページ数: 3ページ)
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*紹介文/目次*
こんにちは(#^.^#)学ランです(^ν^)
主に銀魂を書いております。土沖風味ですが、私は基本的どんなカプでもいける口なので、リクエストなどありましたらどうぞm(__)m
未熟者なのに図々しいですが…読んでくださった方からコメ貰えたら嬉しく思います(#^.^#)
※荒らすのはなしでお願いします…>_<…
【また逢うひまで】
大江戸
かぶき町
ここは江戸の治安を護るためつくられた特殊部隊【真選組】
その中でも、最年少の生意気茶髪少年、沖田総悟。
俺は、総悟との付き合いはかなり長くなるが、出会った時から今の今迄、ずっと命を狙われ続けている。(まぁ、心当たりは色々とおもいつくのだが…)
そんな総悟の姉、沖田ミツバは暫く前に他界してしまった。
総悟の目の前で。彼の手を握りしめながら。
あの日から総悟はどことなく元気がない。というより、覇気がない。確信できる証拠もないが、何となく…何か張り詰めた表情をしているのに俺は違和感をかくせなかったのだ。
生前、俺とミツバは想い合っていた。
ある夏の日、一度武州に帰郷したとき、ミツバに言われた言葉。
“……総ちゃんは、あの子、物心つく前に両親とも亡くなっているし、私もこんな身体だからなかなか一緒にいてあげられなくて…。
ですから、愛情という愛情をしらないで育ってしまったんです……。
そこを私が埋めてあげるべきなのですが、
私もあとどれ位生きられるのか分かりません。
ですから、
十四郎さん…。
どうか、…どうか、
総ちゃんのこと、宜しくお願い致します…。”
この言葉を俺は忘れた事がなかった。
ーーーーーーーー
『ねぇ、土方さんは、俺の事好きですかィ?』
「は、?」
あの日と同じ雲一つない晴れた空。
風鈴の音と共に、色素の薄い細い髪をなびかせて総悟が振り向き様に尋ねてきた。
『ゃ、やだなァ、変な事考えないでくだせェ。
かっ、家族としてですよっっ』
「あぁ。好きだよ。」
『姉上よりも…?』
「!?……」
『……土方さんが好きなのは、俺じゃぁありやせんよ。』
「どういう事だ総悟……。」
『…………、姉上でさァ。』
総悟は子どもらしい丸顔を下に向け、俯き、それきり何も話さなくなってしまった。
会話はまだそれだけだったが、なんとなく悪い事が起こりそうな空気感が俺たちをとりまいた。
「…、な…なぁ、総悟…?」
俺が自分より頭ひとつ分位低い総悟の肩に手を置いた。
その時だった。
バシンッ!
『土方さんは、姉上をっ、今でも好きで、好きで…
忘れられないんでさァっっ!
……だから、俺と姉上を重ね合わせてるだけなんでさァっ…。』
俺の手は思い切り振り払われた。
「…そ、総悟?…大丈夫か…」
『……ハァ、ハァ……ハァ……………』
かなり息が上がっている。常に余裕のある彼の姿は既にそこにはなかった。
地面には黒い染みがいくつもできはじめた。
そう、
彼は泣いていた。
「総悟ッ」
『ッ!触んなっっ! あんたは、あんたはっ、
…それに気付いてねぇ。っっ、俺を姉上の変わりにして満たしてるだけなんでィ………
…けど、俺は姉上とは違って出来の悪い弟なんでさァ…
だから俺が死ねば良かったのにって、皆おもってまさァっ!
なんで、
なんで姉上が死んで、俺がいきてるんでィっっ!』
昔からそうだった。
総悟はこうなると止まらない。
いつも悪ふざけをしたり、いたずらしたり、気楽そうに見えるが、辛い事や苦しい事を何でも溜め込んでしまうタイプなのだ。
『あっ、あんたはっ…姉上をっ…ひっく、姉上を…愛してっ…ヒック…るんで さァっっ
俺の事なんて、これっぽっちもっみっ…見えてないんでィ』
さっきまであんなに俺に触れられる事を拒否していた少年は、今では俺の胸をドンッドンと叩いている。
「………、すまなかった。総悟」
『うっせぇっ…!謝んじゃねぇっっ!……ぅうっ…ヒック…』
「総悟、よく聞け。」
総悟は素っ頓狂な泣き顔で上を見上げてくる。
「そうだな…。
お前の言うとおり、俺は、……
おめぇの姉貴を……
……ミツバを愛してる。
ずっと……あの日から、ずっと…今でもまだ…」
『…。』
総悟の顔はさっきよりもいっそう暗く、泣き出しそうな表情を浮かべている。
「だから」
『…?…。』
「だからこそ、
俺は、総悟、お前を守らなきゃならねぇ。」
『な、何を「お前はっ、!」
「お前はミツバの形見だ。あいつが唯一残してくれた大事な大事な形見だ。
あいつが自分の命よりも大切にしてきたお前を、傷つけさせるわけにはいかねぇ…。天国の姉貴哀しませたらシメーだろうよ。
…合わせる顔がねぇもんな。
だから俺も命をかけてお前を守らにゃなんねーんだよ。お前を守る義務が、俺にはある。
簡単に死ぬとかなんとか、ほざく事は俺が許さん。
総悟、てめぇがどんなに嫌がったて逃げようとしてもだ。
苦しい時にはいつだって俺たちがいる。
分かったか?。」
『……ひ…ひじかっ…「分かったか?」
『…………へ、ヘィ…』
「分かりゃいいんだよ。…な?」
俺は腕で顔を隠しヒック、ヒックとしゃくりあげている小さな少年の髪の毛をガシガシと撫でた。
「ん、あと、姉貴と総悟を重ね合わせてるってのはちげーよ。
あくまで俺はお前をお前として見ているつもりだよ。」
『……ヘィ……。
どうもすいやせんでした。土方さん…
……あ、、叩いてごめんなさい…。痛かったでしょう?』
「…痛くなんかねぇよ。…総悟。」
普段は、大人びた発言ばかりかましているが、根は素直なこの少年を俺は知っている。そんな総悟がただ可愛くて、愛おしく思え、俺は微笑した。
総悟……
俺はもう、誰も失いたかねぇんだ。
だから……
命に変えても俺が、
真選組〔俺たち〕がお前を守るから。
そんでもって、あっちに逝ったときは姉貴も一緒に
また皆で馬鹿騒ぎできるようにさ、
だから、
だから……
それまで…ずっと
俺の隣に居てくれ。
…総悟。
*2*
【秋風が吹く頃】
「そういや、近藤さん、
局中法度違反者の介錯、明日だったよな…」
「…あぁ、そういやそうだったなぁ。」
真選組幹部の者にとって、それはこの上ない位に気のすすまない仕事だった。
隊内には局中法度があり、違反した隊士は後日切腹が義務付けられている。
その時に、違反者1名につき1名の隊士がその者の介錯を担当する事になっている。
基本的には真選組は順番制でその仕事が回ってくる。
(違反者が出ない事が何よりなのだが…。)
そして、明日それを行う人物、
真選組最年少の隊士ーー沖田総悟
「…ちっ…、総悟かよ。」
土方はつぶやいた。
隊内で唯一、まだ成人もしていないこの少年に介錯を務めさせる、というのは一体どうなのだろう、と昔から議論されてきた事だった。
「なぁ、トシ……。」
真選組局長である近藤が申し訳なさそうに名前を呼ぶ。
「ん?なんだ近藤さん、改まって」
「いやぁ、やっぱり俺ぁ、総悟に介錯はまだ早いんじゃないかと思ってなぁ……。」
いつものように笑いながら話すがその表情には不安が見て取れた。
「でも、あいつだって討ち入りでは普通に俺たちと同じ位斬ってるじゃねぇか。
それに、総悟もう18だ。大丈夫だろう……」
「まぁ、そうなんだがな?
、ほら、やっぱり今迄仲間だった奴を斬るってのは、俺でも凄いストレスになるからなぁ」
近藤は総悟が9つの時から面倒を見ているだけあり、自分の息子のように大切にしてきた。
「なぁ、トシ…」
「近藤さん、俺だって極力んなこたぁ、やらせたくないが…
真選組〔ここ〕にいる以上何れは
通るみちだ。……
…まぁ、
とはいっても、総悟の様子を見て……だな。」
ーーーーーーーーー
その夜、
ガサッッ!
土方は総悟の部屋の襖を乱暴に開けた。
「何だよ土方、ノックぐらいしなせぇっ」
「うぉっ」
総悟は布団の上でゴロゴロと読んでいた漫画を思い切り土方の顔面に投げつけた。
「まったく、可愛い部下の部屋にいきなり入って来て夜這いですかィ…? これだから欲求不満な大人はいけねぇ……。」
「だっ、誰が欲求不満だっ。ぶっ殺すぞコノヤロー。」
一通り、いつもの言い合いが終わり、互いの暴言も尽きて来た頃。
「で、なんですかィ?…
もしかして、介錯の事ですか?」
「分かってたのかよ、。」
「まぁ、あんたの考えてる事は単純ですからねィ。」
「なんだとっ!……
……まぁいい。 その明日の話なんだが、お前どうする?初めてだったよな?」
「ぷっっ、そんな介錯ごときで何言ってんでィ?俺ァそんなに餓鬼じゃないんですけど。」
沖田はいつも通りに悪態をつく。
「それに俺ァ、違反者を粛清するのに一々感情なんて持ち合わせちゃぁいやせんて。」
「…それもそうか。
まぁ、話はそれだけだ。」
俺はそれだけ言って仕事に戻った。
ーーーーーーーーーーー
翌朝
午前9時、
沖田は元隊士の切腹を見届け、介錯を務めた。
それはそれは、綺麗な切り口だった。
迷いがなく、まっすぐな太刀筋で非の打ち所がない位に完璧だったという。
何事もなかったかの様にその時は過ぎていった。
ーーーーーーーーー
しかし
その日の夜
沖田が居なくなった。
屯所の連中はいつもの様に夕食や酒やらでどんちゃん騒ぎしていた所だった。
近藤や土方なんかは朝夕構わず職務におわれていた。
それに気がついたのは、真選組監察部隊の山崎だった。
その山崎からの知らせを聞き土方は外へ飛び出した。
沖田は冷静だが、近藤のことになると周りが見えなくなってしまうところがあるので、何処かで攘夷浪士達と斬り合いになり負傷してはいないか、連絡したくとも出来ない状況になっているのではないか、と土方の頭を嫌な予感が掠めていった。
しかし、
沖田はあっさりとみつかった。
いつもの甘味屋の近くの橋の上で穏やかに流れる川を見つめていた。
「…総悟?」
うな垂れるように下を見ていた沖田は、ゆっくりと土方の方に目線を流す。
「どうした、総悟。近藤さん達が心配してんぞ。」
ぶっきらぼうな聞き方だが、土方にも不安の色がみられる。
「別に…一人になりたい時だってありまさァ。 18の男子ですぜィ?そうやって、すぐに追っかけて来るのもどうかと思いますぜ。」
「…て、てんめぇ……人が心配してるっつうのにどういう口の聞き方してんだ…ぶっ殺すぞ。」
「…はぁ、だったら来ないで下せぇ。」
土方は違和感を感じた。いつもの言い合いをしているのだが、何かが違う。
沖田に余裕がないのだ。土方をからかう事が生き甲斐の彼だが、今は他の事に精一杯でいつもの様な悪意は全くもって皆無だ。
「……どうした。総悟」
それを悟り土方はいつもに増して柔らかく尋ねる。
しかし、それでも沖田は顔を上げようとしない。
「…仲間を斬るのは…
辛かったか?…」
なかなか聞きたくとも聞けなかった事を土方はやっとの思いで声にした。
そして、沖田の肩は小さく震えていた。
「あ、あいつは…一番隊だったんでさァ。」
「あぁ。知ってるよ」
沖田の表情は未だ分からないまま。時間だけが過ぎていく。
「俺が、もっともっと上手くまとめていれば…もっともっと一人ひとりに気ぃ使っていれば…
……こんな事には、ならなかったんでさァ。」
「…総悟……」
昔からそうだった。沖田は最年少ながら誰よりも人を斬り、血を見て育ってきた。
新入りの隊士なんかには、
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