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お父さんはもういない
作者: カガリ  (総ページ数: 3ページ)
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*2*

私と夫は、一か月もの間意地を張り合った末、ようやく和解した。我ながら子供っぽい・・・いや、それ以下か。馬鹿な真似をしたものである。お互いを無視し続けるなんて。
子供に、長いことくだらないことに付き合わせてごめんなさいと言った。
お父さんと仲直りできました、あなたまで巻き込んで本当に申し訳ない、と。
夫が、子供の名前を呼び、同じように謝った。
しかし子供は、返事をせず、困ったように宙を見ていた。

「酷なことを言いますが、落ち着いて聞いてください」
精神科の医師が、硬い顔で言った。
「・・・・お子さんは、お父さん、あなたのことを認識できていません。
姿が見えていないし、声も聞こえていません。
十中八九、心因性のものでしょう。お心当たりはありますか?」

私たちは泣き崩れた。

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