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作者: 栗おこわ (総ページ数: 19ページ)
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*16*
第11生 さよなら
私が、3つ目のりんごを口に入れた時。
11:50をさす、電波時計の針の薄緑色の光が見えた
「あ…大変」
頭の中に、【時間までに還ってこなければ、あなたは一生人間界で彷徨うことになるでしょう】と、女神様の声が蘇えってくる
「やば…。還らなきゃ」
私は、最後のりんごを口に入れた
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「ええっと…呪文、だよね?」
どこに入れたかな…と一瞬思ったが、すぐ思い出した
(そうだ、パーカーのポッケ…)
右ポケットを探ると、「カシャ」という紙の擦れる音が聞こえた
「あったぁ…」
「さて…呪文は…」
こんなとこで言ってもいいのかな?と思ったが、時間がない…と思い、その場で言った
「625の595の452!」
全く意味の分からない言葉だったが、まあ呪文なので、それでいいのだろう
すると
ピッカァァァァ!!
「!?」
私の視界は、真っ白になった…―
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ドスン!
「!痛ったああ!?」
お尻の激痛に、思わず声をあげる。ついでに、目もぱっちり開けてしまった
【あちゃ。失敗しちゃった?】
心が温かくなる、不思議な…
「め、女神様?」
成功したんだ…?
【ぴんぽんぴんぽん、大正解〜♪】
と、彼女が言うと、最初に会った時のように、眩しい光と虹が現れた
「眩し…」
そして、目を開けると…
【おかえり、森田さん】
女神様だ…
「よ、よかった…私、戻れたんですね!?」
【ええ♪】
女神様は、私に「ぐっと!」と言って親指を突き出し、にっこり笑った
【ああ、そうそう…小嶋さんがね?】
「こ、小嶋さん!?まさか……無事、戻ってま【す!】…え…」
【だいじょーぶ。戻ってきたわ。時間ぴったりにね。犬に会えたって、喜んでた】
「良かったぁ……」
【でね、小嶋さんから森田さん戻ってきたら言ってって言われて…】
【「おつかれさん」だって】
「…こじ…小嶋さ…ん」
【あらやだ、泣いてるの?】
うう…だって、だってえ…
「安心、しちゃって…」
私が、ぐずぐず泣いているのを、女神様は優しい目でみていたけど、【
ほら、はやく泣き止む!】と一括した
「すびまぜん…ぐずっ」
【はい。では、天界への扉を開けてください…】
「は、はい…」
私の視界に、また、あの、赤とピンク色をしたドアが現れた
【森田さん、私も暇ができればそちらに行ってるから、いつか会えるわ】
女神様が、優しく微笑む
「やっぱり、女神様ですね…」
【(仮)なんて、もうやめた!女神で〜す!】
女神様は、また、にっこりと微笑んだ
「いままでありがとう…みんな」
そう言って私は、ドアを開けた―
END〜ご愛読ありがとうございました〜(あとがきは後にアップします)