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作者: モンブラン博士 (総ページ数: 144ページ)
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ある日のことです。
「きみたちにお願いがあるのですが、いいですか」
星野くんが珍しくふたりにお願いをしてきました。
「いいよ!なんでもいって!」
王子が明るく言うので(ラブリは前よりは星野くんに敵意をむき出しにしなくなりましたが、彼と張り合っているのが好きなようです)。
「メープルさんとデートしてきてもいいですか?」
「ダメダメダメダメダメ!絶対ダメです!!ぼくは反対ですよ、元自称天使さん」
「ぼくは星野です。それ以外の何者でもありません。もちろん元天使でもありません。ぼくは人間です」
「へー、少しは言えるようになったじゃないですか。でも、ぼくには勝てませんよ」
「きみと戦ってもなんの得にもなりませんし、戦うのは好きじゃありません」
星野くんは淡々と話を続けます。
「ぼくはずっとメープルさんとデートしたいと思っていました。それで、モンブランさんに許可をもらったら、二つ返事でOKしてくれました。あとはきみたちだけです」
と、ここで小さく深呼吸して、
「メープルさんとぼくのデートを認めてください。そうしないとぼく、一生片思いになってしまいます」
「頼み方が下手、無表情、不細工、幼稚、(ほんの少し)チビ、隠れオタク、カレーバカ、めちゃくちゃ暗い、敬語が頭にくる、上がり症、虚弱体質。
これだけきみには課題があります。これをクリアしないことには、ぼくは認めません(クリアしても認めませんけど)」
「そうですか・・・・」
星野くんはしゅんとなってしまいました。
「ぼくはOKするよー。楽しんできてねー」
「・・・・・ラブリくんは、どうしてもOKしてくれませんか」
「いいですか、これは愛のムチです。きみを愛しているから(もちろん大嘘ですが)こそ言っているんです」
「それはありがたいですが、ぼくには、ただの悪口に聞こえます」
「それはきみがスーパーネガティブマンだからです。もっと明るい考えをみにつけないといけません!!」
「ぼくはこれでも明るいんです」
ラブリは完全無視して話を続けます。
「きみは髪がふわふわしているでしょ。これがダメなんです。(かわいい系になるから)男ならワイルドにきめないと!!(そうしないとぼくのかわいい系のキャラが奪われてしまいます)」
「これは地毛だから、どうしようもありません」
「うそをつきなさい!どーこにこんなふわっふわのまるでケーキのスポンジのように柔らかい髪が存在するっているんですか!!」
ラブリは星野くんの髪をひっぱりはじめます。
「痛いですよ、やめてください」
「ほー、痛みを感じるんですか」
「当たり前ですよ、ぼくは人間なんですから」
「ああ、人間だったんですね。ぼくはてっきり天使かと思っていましたよ」
「嫌味か皮肉のどちらかにしか聞こえません」