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作者: モンブラン博士 (総ページ数: 144ページ)
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*37*
「そこまでです」
不意にどこからともなく静かな声が聞こえてきました。
「(!!)」
ふたりが驚いたのも無理はありません。そこには、ホワイトくんによく似た少年が立っていました。
髪はつやのある茶色い髪、右目が髪で隠れており、その目は眠たそうにトロンとしています。肌は色白で白のシャツに灰色のズボン。首にはヘッドホンをぶら下げています。羽は生えておらず、浮かんでいます。
「・・・・なんで貴様がここに・・・!」
「ぼくはずっとここにましたが・・・気づいていなかったのですか?」
「ウソをいうな!ぼくはお前の気配なんか感じなかったぞ!」
「それはきみがニセモノの天使だからです。常に、ニセモノは本物には勝てないんです。有名なブランド物のバッグだって、ニセモノ商品が出回っていますが、本物とニセモノの違いはわかる人にはわかりますよ」
無表情で淡々と話し出す少年。
「う、うるさい!だまれ!」
「・・・・」
「黙るな!話せ!」
「わかりました。ぼくは天使ですから、いくら痛めつけても結構ですよ。殴ってもキスをしても服を脱がせても水をかけられてもなんとも感じません。ですが、これだけは言っておきます。ぼくはマゾではありません。天使です」
「ぼくに勝てないくせに・・・ぼくは本物の天使なんだーっ!」
ホワイトくんが突進してきましたが、相手は本を取り出して、それを読みながら右へ左へ軽々と攻撃を避けていきます。
「そういえば、きょうは戦隊ヒーローショーがあるんでしたね。早く行かないと間に合いませんね」
思い出したようにつぶやく少年。
「ふざけるな!ふざけるなーッ!」
「ぼくは本気ですよ。遅刻したらヒーローが負けてしまうかもしれませんから。負けたら一大事です」
「ヒーローショーとぼくとの戦い、どっちが大事なんだ!」
「ヒーローショーです」
即答する少年。
「夕飯はカレーライスにしますか。きょうは甘口にしましょう。明日も甘口がいいですね」
「ぼくは・・・今すごく辛口なんだーっ!」
「カレーは甘口が一番です。少なくとも、ぼくはそうです。辛いのは苦手ですから」
「殺してやる・・・!!」
「この本が気になるのですか?この本は、戦隊ヒーロー大百科です。歴代の戦隊ヒーローが大集合していますよ」
「ぶっ殺して細切れにしてくれる!!」
「それではぼくはハンバーグになってしまいますね。カレーのお肉ならまだ嬉しかったのですが」
「チクショー!」
「ぼくはカレーライスにコショーはかけません。辛くなりますから」