完結小説図書館
>>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック
*11*
理科準備室に入ると、圭吾がコーヒーを入れているところだった。
「お、みんな来たね。」
そして、みんな席に座る。
「じゃあ、自己紹介をしようか。」
「日守紗綾です。マテリアルは破魔。」
「日守黎夜。マテリアルは光。」
「風見志穂です。マテリアルは風です。」
次は、気になるしずくだ。
「…水沢しずく。マテリアルは水…。ちなみに、紗綾と黎夜と同じ悪魔と人間のハーフ…。前までは魔界にいた…。」
そう、しずくが突然変異じゃないのは魔界にいたから。
これで自己紹介は終わりなのだがまた圭吾が話し出す。
「しずくちゃんが今頃こっちに来たのは理由があるんだよね?」
その言葉にしずくはこくりとうなずく。
「あたしがこっちに来たのはみんなにあたしの双子の妹、波香を探すのを手伝ってもらいたいからなの…。」
そして、ぽつり、ぽつりと話し出した。
しずくがまだ7歳のとき、しずくは妹、波香と一緒に暮らしていた。
とはいっても、悪魔から逃げながらだ。
しずくと波香はマテリアル。つまり、悪魔の敵なのだ。
しずくたちは悪魔に見つかりそうになったら場所を変え、また見つかりそうになったら場所を変える、
という生活を何年も続けていた。そして、ある日。
ついに悪魔に見つかってしまった。こんなときは走って逃げるしかない。
しかし、その途中に波香はつかまってしまう。
「波香!」
「しずく〜!」
見捨てることはできない、とその悪魔についていこうとしたが、悪魔はすぐにどこかへ行ってしまった。
「やだよ…。波香ぁ…。」
しずくはそこに泣き崩れた。そして、次の日。
悪魔がこそこそ話しているので、こっそり聞いてみる。
「なあ、昨日の子、どうしたんだ?」
「ああ。そいつなら、ほら、あのアーティファクトの剣あっただろ?あの剣についている
青い石にいれて、アーティファクトと一緒に封印してやった。」
その話を聞き、しずくはまだ波香が生きていると思った。
それで、ずっと探し続けてきた。封印の解除の仕方も知っている。
でも、一向に見つからない。もう、5年くらい経っているのに。
すると、またこんな話を聞いた。
「なあ、封印したやつ、どこにあるんだ?」
「洞窟だけど?」
「どんな?」
「人間界の神舞町の。涙の洞窟って呼んでるとこ。ほら、泣いてる人の像が洞窟の前にあるじゃん?」
そこで、しずくは人間界にきた、というわけだ。
「…というわけなの。あたしは、波香を助けたい。力を貸してください…!」
しずくは頭を下げる。
「もちろん、探すの手伝うよ。ね?みんな。」
「ああ。」
「当然です。」
みんな、仲間。頼れる人がいなかった魔界とは違う。
「ありがとうー…。」
しずくはにこっと笑った。しずくが笑うのは久しぶりかもしれないー…。