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*7*
紗綾たちは思わず声を出してしまった。
志穂もこの近くにいたのだ。
これに周りの子たちが話し出す。
「水沢さん、めっちゃ意外…。」
「うん、確かに〜。」
「でもほら、なんかミステリアスな感じがするし…。」
「ていうか、そんな驚くこと?」
さすがにやばいと思い、紗綾は急いで弁解を試みる。
「あ、ちょっとびっくりしただけで…、そうなんだー。うれしいな。」
弁解というほどでもないが…。
それに、うれしいというのも事実だ。
転校してきて怪奇探偵団にはいるということは、おそらくマテリアルなのだ。
「放課後、一緒に行こうか。」
「…うん。」
その次の放課、しずくの周りの人だかりがなくなっていた。
質問しても答えてもらえないからだろう。
紗綾は、しずくにこそっときいてみた。
「あ、あのさ、怪奇探偵団にはいるってことは…。」
周りの子に聞こえないように話す。
まあ、今は近くにいるのは黎夜くらいだが。
「うん。あたしもマテリアル…。」
「そっか、よかったあ。」
紗綾はほっと胸をなでおろす。
(それにしても、しずくちゃんって、ほんとにキレーな顔…。)
長い前髪に隠れてうまく見えない時もあるが、しずくは本当にきれいな顔をしている。
深い青の瞳。長いまつげ。長い髪の毛はさらさら。すらりと長い足。まるで、モデルのようだ。
(これから、仲良くできたらいいな…。)
紗綾はまだ知らなかった。
しずくの心に深い傷があること。そして、悲しみという名の深い海に溺れていることを…。
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