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日常
作者: rivi  (総ページ数: 7ページ)
関連タグ: コメディ 
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*3*


 森の中は、まだ昼前だというのに、薄暗い。
 周りを見渡しても、紅葉した木があるばかり。道なんて立派なものはない。
 獣道でもまだましであろう場所を歩いていく。
 先を歩いていたはずのマイクも、いつのまにか横に並んでいた。
「怖く、ないのか?」
 マイクが聞いてきた。
 ―不思議なことを聞いてくるなぁ・・・。怖いどころか、ワクワクしてるていうのに。
「全然?」
 僕は、<日常>が好きなのだ。毎日同じことを繰り返される日常が、何より好きなのだ。
 でも、それと同時に、刺激も求めている。だから、マンガやテレビの中の<非日常>に、あこがれもするし嫌悪もする。
 そんな僕のもとにやってきた「不思議な森の探検」。 それの意味するものは、未知の世界へ踏み入れる、ということ。
 楽しくてたまらない。だから、怖いなんてありえないのだ。
 「どこが怖いの?むしろ、わくわくするよ?」
 「ふぅん・・・。そうか、おまえは怖くないんだな。でも、俺は怖い。確かに、未踏の地に踏み入れることはワクワクするけど、今の俺は恐怖のほうが勝ってんだよ」
 「恐怖?そんなのないけどなぁ・・・。 僕は、<非日常>を求めてるんだ。大好きな日常にね。だから、怖さなんて、ないよ」
「そうか・・・。じゃぁ、ここから先は一人で行ってくれないか?おまえは先に進みたいんだろう?でも俺は進みたくないんだ。だから・・・」
 進みたくない、か・・・。でも僕は進みたい。
「うん。わかった。1人で行くよ。だから、ここでバイバイだね」
「あぁ。わるいな、俺が誘っておいて」
「大丈夫。楽しかった。ありがとう」
 お互い、背を向けて歩き出す。
「ジャック!危なくなったら、危険だと思ったら、すぐ戻ってこいよ!必ず、戻ってこい!!」
 あぁ、僕はなんていい友達を持ったんだろう
「わかってるよ!」
 再び、歩き始める。
 サク、サク、サク・・・
 落ち葉を踏むと、軽い音がする。
 ・・・僕は今、<非日常>にむかって歩いているのかな・・・
 そんなことを考えながら、暗い森の奥へ進んでいく。
 これからどうなるか?さぁ、どうなるんだろうね。
 死ぬかもしれない。不思議な世界に迷い込むかもしれない。何もないかもしれない。何が起こるかなんて、誰にもわからない。
 だからおもしろいんだ。
 だから、こう考えるんだ。<日常ほど非日常なものはない>ってね。
「さぁ、どうなるのかな?」
                   
            〜fin〜







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 最後まで読んでくださってありがとうございます! 
 
 完結です。

  他の小説も書こうと思ってるので、また読んでくださるとありがたいです。

   コメントをくださった方も、ありがとうございました!

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