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*3*
森の中は、まだ昼前だというのに、薄暗い。
周りを見渡しても、紅葉した木があるばかり。道なんて立派なものはない。
獣道でもまだましであろう場所を歩いていく。
先を歩いていたはずのマイクも、いつのまにか横に並んでいた。
「怖く、ないのか?」
マイクが聞いてきた。
―不思議なことを聞いてくるなぁ・・・。怖いどころか、ワクワクしてるていうのに。
「全然?」
僕は、<日常>が好きなのだ。毎日同じことを繰り返される日常が、何より好きなのだ。
でも、それと同時に、刺激も求めている。だから、マンガやテレビの中の<非日常>に、あこがれもするし嫌悪もする。
そんな僕のもとにやってきた「不思議な森の探検」。 それの意味するものは、未知の世界へ踏み入れる、ということ。
楽しくてたまらない。だから、怖いなんてありえないのだ。
「どこが怖いの?むしろ、わくわくするよ?」
「ふぅん・・・。そうか、おまえは怖くないんだな。でも、俺は怖い。確かに、未踏の地に踏み入れることはワクワクするけど、今の俺は恐怖のほうが勝ってんだよ」
「恐怖?そんなのないけどなぁ・・・。 僕は、<非日常>を求めてるんだ。大好きな日常にね。だから、怖さなんて、ないよ」
「そうか・・・。じゃぁ、ここから先は一人で行ってくれないか?おまえは先に進みたいんだろう?でも俺は進みたくないんだ。だから・・・」
進みたくない、か・・・。でも僕は進みたい。
「うん。わかった。1人で行くよ。だから、ここでバイバイだね」
「あぁ。わるいな、俺が誘っておいて」
「大丈夫。楽しかった。ありがとう」
お互い、背を向けて歩き出す。
「ジャック!危なくなったら、危険だと思ったら、すぐ戻ってこいよ!必ず、戻ってこい!!」
あぁ、僕はなんていい友達を持ったんだろう
「わかってるよ!」
再び、歩き始める。
サク、サク、サク・・・
落ち葉を踏むと、軽い音がする。
・・・僕は今、<非日常>にむかって歩いているのかな・・・
そんなことを考えながら、暗い森の奥へ進んでいく。
これからどうなるか?さぁ、どうなるんだろうね。
死ぬかもしれない。不思議な世界に迷い込むかもしれない。何もないかもしれない。何が起こるかなんて、誰にもわからない。
だからおもしろいんだ。
だから、こう考えるんだ。<日常ほど非日常なものはない>ってね。
「さぁ、どうなるのかな?」
〜fin〜
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最後まで読んでくださってありがとうございます!
完結です。
他の小説も書こうと思ってるので、また読んでくださるとありがたいです。
コメントをくださった方も、ありがとうございました!